Yamanaka Yukino Eclipse

＜Artist Statement＞
山中雪乃はこれまで、人間の輪郭と現象のあわいに揺らぐ、不定形で非人間的な存在を描いてきた。具象と抽象、身体と空白、自己と他者——その間に浮かび上がる“なにか”に触れるようにして、描くという行為を通して可視と不可視の境界を探ってきた。

本展の新作品群は、絵画表現のなかで行われる筆のストローク、たれ、かすれ等に加え、タイトル「Eclipse」のように、影を呼び出し、一部の光を遮ることで別の像が浮かびあがる現象を期待して制作されている。影や反転、奥行きのレイヤーが加わることで、これまではっきりとしていたモチーフに含まれるそれぞれのパーツが隠される。そのことにより、視覚的な確かさを与えるための影が、像そのものの構造を曖昧にする。

明瞭さと不確かさが同居する感覚。見えないまま漂っていた存在が、何かの拍子に現れ、しかしすぐにまた形を失う——その過程にあるものこそが、山中の絵画であり、私たち自身でもあるのかもしれない。

＜展示内容＞
本展では、タイトル「Eclipse」をテーマに、新作約10点の平面作品の展示を行います。「Eclipse」の様に、影により遮られる光から浮かび上がる現象、明瞭さと不確かさが同居する感覚を展覧会会場にてお楽しみください。作品は会場にて販売を行います、詳細情報はPARCO ART公式HPにて随時情報を更新いたしますのでご確認ください。

Disproportionate facepalm half

＜展覧会記念商品＞

本展では、展覧会開催を記念した、Tシャツなどの展覧会記念商品の販売を行います。掲載している商品は一部になります。商品の詳細情報は、 随時更新しますのでこちらのページにてご確認ください。
※画像はイメージです。
※企画内容は予告なく変更となる場合がございます。
※商品の数には限りがございますので、売切れの際はご容赦ください。

＜プロフィール＞

Yukino Yamanaka/山中雪乃 | 1999年、長野県生まれ。現在は東京と神奈川を拠点に活動する。2023年、京都芸術大学大学院を卒業。これまで人間の物質としての輪郭と現象としての状態の双方に注目し、そのあわいに蠢く不定形で非人間的な存在を描く。初期より一貫して人物をモチーフとし、そのスタイルは具象的な描画からランダムなストロークを用いた抽象的な描画へと変化している。白飛びのような情報を欠いた空白、身体の隙間にだらりと流れる液体、セルフィーやアーティスト写真を思わせるエゴイスティックな表情やポーズ。それらが画面全体へ溶け込むように描かれることで、「私」から「何か」への変異のプロセスそのものを捉え、これまでの人間像から脱しつつある未完の存在としてのわれわれの姿をあらわにしている。