
金巻芳俊は、一つの身体に複数の顔や表情が重なり合う現代的な女性の木彫作品などで知られるアーティストです。不思議な視覚効果が施されたファッショナブルな人物像を通して、現代人の持つ心の揺れや多面的な感情を表現し、「人間とはなにか?」を追求してきました。
金巻の近作が多数展示される本展覧会は、作家の現在地を多角的に示す場となります。さらに、金巻作品をモチーフにした本展オリジナルのアニメーションの展示やPARCOならではの空間演出で、金巻芳俊の作品世界を新たな角度から拡張します。
〈展示作品〉
呼氣カプリス
空刻メメント・モリ4
反照プリズム
「アンビバレンス(ambivalence)」という理念が金巻芳俊の彫刻作品の核となっています。相反矛盾する心理が両立し、相反する態度が同居することを示すこの言葉を、私は多面多臂像という独自の表現で解釈して木彫作品として具現化しています。本展「創発エンティティ」における彫刻作品はそれぞれが独立した"個"でありながら、展示空間の中での配置や距離、光や影の変化、そして鑑賞者がどの位置からどの距離感で見るかによって、まるで感情や気配を持つ誰かや私という存在であるかのように感じられ、新たな意味や印象を生み出されます。本展で提示されるのは、単なる彫刻という物質的な形態ではありません。そこには「人間とはなにか?」という問いから"創発"され、作品同士や鑑賞者との関係性の中から立ち現れる、より確かな"実在ーエンティティ"が立ち上がることでしょう。
―金巻芳俊
〈アーティストプロフィール〉
金巻 芳俊|Yoshitoshi Kanemaki
1972年千葉県生まれ。多摩美術大学彫刻学科を卒業後、「アンビバレンス(相反する感情)」や「メメント・モリ(生と死)」をテーマに、木という有機的な素材に独自の生命観を吹き込みながら「人間とはなにか?」という問いを一貫して追求している。いくえにも重なり合う頭部や手足を組み合わせた造形は、内面の揺れや多層性を象徴する表現として高い評価を得てきた。国内外での展示を重ねるなかで作品は発表のたびに完売が続き、アートマーケットにおいて強い支持を確立している。また、ファッションブランドとのコラボレーションや書籍装幀に作品が採用されるなど、アートシーンの枠を超えて存在感を広げている。精緻な彫りと確かな造形力によって木彫表現の可能性を更新し続ける、現在もっとも注目される木彫作家の一人である。
〈作品モデルについて〉
明鏡プリズム
展覧会のメインビジュアルにも使用されている作品《明鏡プリズム》は俳優・山田杏奈をモデルに制作されました。
透明感溢れる少女から複雑な内面を持つ難しい役柄まで演じ分け、表現力の振り幅が広い山田の本質はどこにあるのか?
鋭い観察眼によって写し取られた姿は、金巻の脳内で人格が幾重にも交差するプリズムを通した像へと変換され、超絶的な技術によって木彫として立ち上がります。
金巻作品の世界に入り込んだ俳優・山田杏奈の造形をぜひ会場でご覧ください。
山田 杏奈|Anna Yamada
2001年1月8日生まれ、埼玉県出身。A型。
2018年、映画『ミスミソウ』で初主演を務め、その後も映画『ひらいて』『山女』映画ドラマで多数主演。2019年映画「小さな恋のうた」では第41回ヨコハマ映画祭にて最優秀新人賞受賞。
2023年『山女』では第15回TAMA映画賞最優秀新進女優賞を受賞。
2024年映画『ゴールデンカムイ』『正体』では第37回日刊スポーツ映画大賞・助演女優賞、第48回日本アカデミー賞・優秀助演女優賞、新人俳優賞を受賞。
2026年6月12日には主演映画『NEW GROUP』の公開が控えている。
〈対談イベント|川田十夢 × 金巻芳俊〉
独自の発想や技術で人気のクリエイター・川田十夢氏をお招きし、展覧会タイトルにもある「創発」をテーマに対談するイベントを開催いたします。
会場:展覧会場内(PARCO MUSEUM TOKYO)
日時:6月13日(土)14:00–15:30
事前申込不要(当日先着順・入場規制を行う場合があります)
川田十夢|Tom Kawada
開発者。10年間のメーカー勤務で特許開発に従事したあと、2009年から開発ユニットAR三兄弟の長男として活動。芸能から芸術、ひみつ道具から学研の科学、プラネタリウムから美術館、六本木ヒルズから乃木坂46に至るまであらゆる領域を拡張している。双日商業とともに取得した特許『どこでも自販機』『飛び出すアクスタ』が産業的にスマッシュヒット。乃木坂46の次はプロ野球を拡張している。WIREDにて巻末連載、J-WAVE『SYNCREATE』が放送中。生成AIなどの最新テクノロジーを駆使して、映像と音楽をひとりで作り上げるプロジェクトを進めている。
〈鼎談イベント|三沢厚彦 × 棚田康司 × 金巻芳俊〉
KAAT神奈川芸術劇場にて二人展「彫刻される劇場」を開催する彫刻家・三沢厚彦氏と棚田康司氏をお招きし、現代木彫のトップランナー3名による公開鼎談イベントを開催いたします。
会場:展覧会場内(PARCO MUSEUM TOKYO)
日時:6月21日(日)14:00–15:30
事前申込不要(当日先着順・入場規制を行う場合があります)
三沢厚彦|MISAWA Atsuhiko
彫刻家。1961年京都府に生まれる。1989年東京藝術大学大学院美術研究科修士課程彫刻専攻修了。2000年動物の姿を等身大で彫像した木彫作品「ANIMALS」シリーズを制作開始。同年より西村画廊(東京)で個展開催。2007‒08年平塚市美術館など全国5館で巡回展。以後、各地の美術館で展覧会を多数開催。近年の個展に、2021年北九州市立美術館、2022年新潟県立近代美術館、2023年千葉市美術館、石神の丘美術館(岩手)、2024年新居浜市美術館、2025年文化フォーラム春日井など。主な受賞歴に、2001年第20回平櫛田中賞、2019年第41回中原悌二郎賞など。主な作品集に『ANIMALS NO.3』、『ANIMALS/Multi-dimensions』(共に求龍堂)、『動物の絵』(青幻舎)など。パブリック・コレクション多数。神奈川県在住。
棚田康司|TANADA Koji
彫刻家。1968年兵庫県明石市生まれ。1993年東京造形大学造形学部美術学科Ⅱ類(彫刻)卒業。1995年東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。2001年文化庁芸術家在外研修員として7カ月ベルリンに滞在。2016年インドネシア・バンドゥンに2カ月、シンガポールに1カ月滞在制作。一貫して木彫に取り組み、日本古来の木彫技法である「一木造り」によって人間像を彫りつづけている。その作品は、大人と子ども、人間と自然、個人と社会の「あいだ」といった境界線に存在し、無限の広がりを感じさせる。主な個展に「たちのぼる。」(練馬区立美術館 / 伊丹市立美術館2012-13年)、「O JUN×棚田康司 鬩(せめぐ)」(伊丹市立美術館、2017年)、「線上に幅を 空間に愛を」(井原市立平櫛田中美術館、2023年)など。2022年、第30回平櫛田中賞受賞。神奈川県在住。
※各イベントの実施時間には一部展示がご覧いただけません。ご了承いただけますと幸いです。
〈展覧会記念グッズ〉
アクリルスタンド / アクリルキーホルダー
会場内では、展覧会開催を記念したグッズを販売いたします。
※上記は一部商品となります。その他の商品につきましては、こちらにて随時発信いたします。
※画像はイメージです。実際の商品とは仕様が変更になる場合がございます。
Information
- イベント期間
- 2026.6.12 - 2026.6.29
- 会場
- 4F PARCO MUSEUM TOKYO
- 入場料
- 無料
- 11:00-21:00
※入場は閉場の30分前まで
※最終日18時閉場
※営業日時は変更となる場合がございます。渋谷PARCOの営業日時をご確認ください。 - 主催
- PARCO
- 協力
- FUMA Contemporary Tokyo / BUNKYO ART
- その他
- アートディレクション:三宅晴輝(Perfect Things LLC)
アニメーションディレクション:yooolk
広報協力:YN Associates