COLUMN:鏡面界星雲(2)
帰ってきた コーネリアスの惑星見学
鏡面界星雲(2)
見学猿|コーネリアス a.k.a 小山田圭吾 記録係|辛島いづみ 写真係|端 裕人
実に17年ぶりの惑星見学である。前回30代だった見学猿ことコーネリアスこと小山田圭吾も50代に突入。立派な中年見学猿となった。記録係は故・川勝正幸氏から引き継いだ2代目だが、担当編集Yも小山田のマネージャーT氏も当時と同じで、写真係は見学班ではなかったが小山田とは旧知の仲。勝手知ったるメンバーがそろうと、前回の見学が1ヵ月前のことだったように思えてくるのが不思議なり。
てことで、次は東京のシンボル〈東京タワー〉へ。目指すは高さ250mに設置されたアーティスティックな「ジオメトリックミラー」。トップデッキの天井や壁面にとりつけられた多面体の鏡がさまざまな角度から東京の街を映し出す。高所恐怖症で足がすくむ見学猿一行であったが、小山田本人は「平衡感覚がちょっと狂う感じがしていいね♡」と楽しそう。
記録係 「ジオメトリックミラー」はいつから?
担当者 2018年のリニューアルオープンからです。アーティストのKAZ SHIRANE氏によるもので、進化し続ける東京の街に入り込むコンセプトで作られました。夜になると鏡に仕込んだLEDライトが点灯して、それが反射していい感じになるんですよ。
小山田 確かに、夜は抜群にキレイなんだろうね。昼間でもこれだけ万華鏡感があるんだから。
記録係 東京タワーはよく来たりしますか?
小山田 リニューアルしてからは初めて。一時期よく通ったことがあって。まだ蠟人形館があった頃だね。家も近かったし、海外から友達が来るたびに連れてってた。「なんで(フランク・)ザッパがここにいるの?」って喜ぶから(注:ロックスターの蠟人形が充実する珍スポットだった。2013年閉館)。
トップデッキから降りてきた一行は以前蠟人形館があったと思しきフロアへ。いまどき感あふれるフードコートやショップがあるものの、浮世絵Tシャツやレプリカ刀などを売る土産物屋も並んでいる。それは昭和と令和が混在する異次元空間。
記録係 ここの区画だけ時間が止まってますな。
小山田 天空の鏡の世界を抜け出たパラレルワールドがここにあるってことなのかもしれないよね。
そして本日ラストの鏡面界は、池袋のサンシャイン60ビル。〈SKY CIRCUS サンシャイン60展望台〉内にある「無限スケープ」。上下左右が鏡で、そこに日本の四季の移ろいや幾何学模様の映像が流れるという、ミラーハウスの進化版といえるハコである。さっそく体験した見学猿、「フリップ&イーノの世界にここがいちばん近いかも」とご満悦だ。
小山田 四方を鏡で囲った無限の反復だから、草間彌生さんの『無限の鏡の部屋』にも近くて。前に、草間さんの展示を森美術館の『LOVE展』で観たとき、草間さん本人が入ってきてすんごい焦った(笑)。
記録係 無限の草間彌生が出現。いいなあ!
小山田 あと、ここ、ヒロ・ヤマガタ感もある。昔、ヒロ・ヤマガタの鏡とレーザービームを使ったインスタレーションを観たことがあって、あれもすごかった。いつどこで観たか忘れたけど。それと、宮城の〈感覚ミュージアム〉にも鏡の作品があって……。
編集Y ……あのぉ、ヒロ・ヤマガタも宮城も、両方惑星見学で行ってます。僕もまったく記憶になかったんですが、これ(とバックナンバーを見せる)。
小山田 うわ、ホントだ! 行ってるじゃん!
記録係 同じようなテーマで見学してますな(笑)。
編集Y しかも「フリップ&イーノのジャケみたい」ってコメントを川勝さんがしてます、18年前に。
記録係 5次元界にいる川勝さんがモールス信号で。
小山田 それ、受信しちゃったかもね(笑)。
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