COLUMN:
sunday people(2)
写真|石田真澄 文|小川知子
ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)
「僕はあまりお出かけ体質ではないので、休日はレコードを整理したり、ぶらぶら散歩したり。目線の少し上を見ながら歩くと、いつもと違う発見があって楽しいんですよね」。そう話すミュージシャンのハマ・オカモトさんが、5年ほど通っている中古レコード店が神宮前六丁目にある「ハイファイ・レコード・ストア」だ。「個人経営のレコ屋をめぐるのが好きで。店自体がもはやオーナーの部屋みたいなものというか、十人十色ですからね。そんな中、たまたま探していて行き着いたのがこのお店。すごく好みのラインナップで、お店でも月1でつくられているミックスCDでも、いい音楽をいつも教えてもらっている感覚があります」。渋谷は「確信がつかめない街」だと言うハマさんが訪れる場所は、行きつけの場所ばかり。「幼い頃からの友人3人で飲むと必ず行く飲み屋が渋谷にあって。彼らと会うときは、待ち合わせの2時間前に駅に降り立って、レコードを漁ってます」
羊文学・塩塚モエカ
「お休みの日は、前日の夜から映画を観たり、無駄に夜中の散歩したりして、めっちゃ夜更かしします。あまり得意じゃないんですけど、料理も準備したりして。気合をいれてゆっくりします。それで翌日は、お昼前までたっぷり寝て、美術館行ったり、映画館行ったりして過ごします」と休日の準備に余念がない塩塚モエカさん。この日待ち合わせをした、茶食堂やギャラリーなどが入る複合施設「JINNAN HOUSE」は、友人の写真家の展示で何度か訪れたことがあるそうで、渋谷の喧騒から離れて落ち着ける空間だとか。「高校生のとき、帰りの会をちょっとだけサボって、ユーロスペースに映画を観に来たりしてました。渋谷には仲の良い友人がやっているお洋服屋さんやセレクトショップもあるので、『元気?』と立ち寄っておしゃべりしたり、仕事帰りに友達とお茶したり。でも、去年渋谷ストリームホールで、大好きな〈Phoenix〉のライブのオープニングアクトをしたことが、一番の渋谷の思い出ですね」
岩井秀人
集まった俳優たちが読んだこともない台本の読み合わせを客前でする「いきなり本読み!」で、コロナ禍の演劇界に新風を巻き起こした、劇団ハイバイ主宰の岩井秀人さん。「僕は自分の引きこもり体験を元にしたり、演者自身に起きたことを書いてもらう演劇をやっているので、社会性のレベルを思いっきり上げたカウンセリング調で仕事をすることが多くて。なので、休みの日はボロ雑巾みたいな状態になってますね。ただ寝てただ起きて、起きてもずっと携帯見てるみたいな(笑)」。以前は東口に事務所を借りていたそうで、毎日歩道橋を歩いていたとか。「渋谷って、来るたびに何かが起きてません? 『東京たらこスパゲティ』に前日にはなかった大行列ができたり、人の動きや流れが面白いですね」。「いきなり本読み! in 国際フォーラム」を2020年12月25日に開催予定。
柄本 明
「休日は喫茶店に行って、新聞を読んで、映画を観に行く。大体そんな感じです」。単館系映画館が点在する渋谷には、自転車でふらりと来るという俳優の柄本明さん。中でも渋谷唯一の名画座、シネマヴェーラを訪れる機会が多いそう。「古い映画が多いですし、ラインナップが見事ですよね。どうしても昔は良かった式な発言になってしまうけれど、僕は古いものの方に新しさを感じたり、安心したりするかしら。生きていることが日々新しいことだから、わざわざ新しい何かを生み出さないといけないと思わせる社会や、情報の新しさにはあまりしっくりこないよね。だから、前情報で映画を観に来ることはないですね。感想も人それぞれだから当てにならないし、映画は観てみなければわからないものですから」。柄本さんが出演し、演出も手がける、松井周脚本の4人新作芝居『てにあまる』は、2020年12月19日〜2021年1月9日まで池袋・東京芸術劇場プレイハウスにて開催。
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