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冨永章胤×kolor|対極のあいだで、更新される美学

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冨永章胤×kolor|対極のあいだで、更新される美学
冨永章胤×kolor|対極のあいだで、更新される美学

新たなクリエイティブ・ディレクター、堀内太郎のもとで始動した新生「kolor」。2026年春夏コレクションに通底するのは、完成を急がず、対極を行き交いながら価値を更新していくという姿勢だ。その服を纏い、朝の渋谷の街に立ったモデル・冨永章胤もまた、迷い、立ち止まり、ときに泣きながら、一歩ずつ前へと進んできた。「まだ信念はない」と語る彼の未完成さ、そして世界に挑み続ける現在地は、kolorが描く“途中であること”の美学と重なり合う。服と人、その歩みが交差する場所に、新生kolorのリアリティが立ち上がる。

Photo
Kiyotaka Hamamura
Stylist
Ryota Yamada
Hair&Make
Hanjee
Text
Hisako Yamazaki
Edit
Mariko Araki,Naoko Kinoshita(RIDE)

 

対極のあいだで更新される美学。
堀内太郎による、新生「kolor」が始動

「kolor」2026年春夏コレクションは、新たにクリエイティブ・ディレクターに就任した堀内太郎氏によるファーストシーズン。パリで発表された今季のキーワードは「time travel/chic humor/the hours/the waves」。常に変容し、流れ続ける“時間”を起点に、中世のテーラードやコルセット、自然やアウトドア、近未来的なムードまでを横断的に取り込みながら、多層的な世界を構築した。テーラードを基盤に、多様な要素をユーモアで溶かし込み、完成形をあえて崩すことで、新たな魅力と価値を浮かび上がらせている。
特にファーストルックを飾った純白のジャケットは、色を削ぎ落とした“無色”のkolorとして、新章のはじまりを象徴するルックに。ベーシックな要素に知性と遊び心を忍ばせた、随所にブランド特有のバランス感覚が息づくコレクション。創業者・阿部潤一氏のDNAを確かに継承しながら、堀内氏ならではのミニマルでジェンダーレスな感性が重なり合う――新生kolorの確かな第一歩を印象づけるコレクションとなった。

新作を纏い、冨永章胤さんが朝の渋谷を舞台にファッションシューティングを。柔らかな光が街を包み込む時間帯、静けさと日常が交差する都市の風景の中で、服が持つ構築性と軽やかさが際立つ。製品染めによる奥行きある色合いと柔らかな表情が際立つコートをはじめ、左右で異なるテイストをドッキングしたジャケットや、ラウンドスタッズを配したワイドパンツなど、kolorらしい実験性が随所に光る。アンティークのスモッグを着想源にプリーツを再構築したトップスは、“時間の変容”という今季のテーマを象徴する一着だ。

コート ¥157,300、ジャケット ¥385,000、中に着たシャツ ¥74,800、ポロシャツ ¥53,900、ボトムス ¥91,300、ソックス ¥4,400、シューズ ¥69,300、ベルトポーチ ¥68,200

構造を纏う空間、ムードを纏う服。
渋谷PARCOのkolorがリニューアル

昨年4月、渋谷PARCOのkolorは3Fへと移設し、店舗面積を拡大してリニューアルオープンした。新店舗の内装を手がけたのは、DAIKEI MILLS。通常は隠されることの多い建築の“下地”をあえて露わにし、構造そのものをデザインとして読み替えることで、ブランドの美学を空間へと拡張している。
複数の天井高(CH=2.1〜3m)を持つ区画の特性に着目し、天井下地の構造体を反転させて可視化。顕在化した構造は棚やハンガーラックとして機能しながら、CH=0.6m、1.5mという“架空の天井”を生み出していく。「裏を表にする」というアプローチによって引き出された空間のポテンシャルは、ブランドが展開する色彩やパターン、テキスタイルと呼応し、既存の直営店とは異なる新たなkolorらしさを体感できる場へと昇華されている。

店内で冨永さんが纏ったのは、今季のムードを凝縮したセットアップスタイル。メッシュポケットとバックルベルトを配したジャケットは、ビッグシルエットでありながら、ピンストライプやピークドラペルによって端正な佇まいを保つ。ワイドパンツは側面に施されたニットテープが控えめなアクセントとなり、全体にリズムを与える。インナーには、淡いピンクのスカーフドッキングトップスを合わせ、首元にさりげない動きと彩りを添えた。足元には、今季の注目アイテムであるダブルストラップサンダルをセレクト。ボリュームソールと小ぶりなポーチを配したデザインが、スタイリングを引き締めるポイントに。

ジャケット ¥242,000、ボトムス ¥165,000、ポロシャツ ¥53,900、シューズ ¥69,300、ソックス ¥4,400 シューズ ¥69,300

ひとりで泣いた夜をこえて。
冨永章胤、初めての海外ランウェイ

2022年のデビュー以降、彼はひとつ一つの経験を積み重ねながら、モデルとしての歩みを着実に広げてきた。190cm近い長身と、完成しきっていないからこそ宿るみずみずしい佇まいは、ランウェイに独特の緊張感をもたらす。2025年の夏には、ミラノとパリのメンズコレクションに初挑戦。PRADAをはじめ、kolorのランウェイも経験し、世界を舞台にキャリアを更新し続けている。
「正直、行く前はめちゃくちゃ怖かったです。『もう、行かなくてもいいんじゃないか』って思ってしまうくらいで…。最初に挑戦したのがミラノでのPRADAだったのですが、それまでたくさんオーディションを受けていたのに、ひとつも決まらなくて。フィッティングもなくて、『これはもう終わったな』って。初めての海外で、何もできずに帰るパターンかもしれないと本気で思い、かなり悩みました。PRADAが決まるちょうど前日に、思わず泣いてしまって。そのとき母に電話して、『今回ミラノで何も決まらなかったら、パリには行かずに帰る』って伝えたら、『とりあえず洗濯しなさい』って言われて(笑)。そうしたら次の日に決まって、強い気持ちで臨みました。もしあのとき、決まっていなかったら、パリの挑戦もなかったと思うし、たぶんもう二度と海外のランウェイは行かなかったと思います。その後、パリでもいくつかのショーを歩かせていただいて、結果的にはすごくいいスタートを切れたと思っています」

「信念はまだないんじゃないですかね」

周囲に大人が多い環境で育ってきたという冨永さんにとって、「かっこいい生き方」とはどんなものなのか。その問いに、彼は少し考えてから率直な言葉で答えた。
「簡単に言うと、信念を持ってる男はかっこいいなって思いますね。ただ、その信念って、長年ずっとやってきてこそのものだと思うし、自分から言いふらすようなものでもない。周りから見て、『この人は、こういう信念を持ってるんだな』って、自然と伝わるものだと思うんです。なろうとしてなるというより、いつの間にかそうなっているものというか。それを持ってる人は、やっぱりかっこいいです」

では、自分自身はどうなのか。その問いを向けると少し笑いながら、正直な気持ちを明かしてくれた。
「まだないんじゃないですかね。正直、よくわからないです。今はまだ、ブレブレだと思います」

モデルとしてのキャリアを振り返り、忘れられない情景について話が及ぶと、彼の記憶は自然と“最初の仕事”へと遡っていった。
「いちばん最初に仕事をしたとき、表参道にすごく大きな看板が出たんです。自分が写っているビジュアルが壁二面分くらいあって。母と一緒に見に行って、『まさか、こんなに大きく出るの!?』って驚きました。実際に見たときは、正直、圧巻でした。地元の友達とかにも、めちゃくちゃ言われました。『お前、いるやん』って(笑)。ちょっと照れましたけど、当時はまだモデルの仕事を始めたばかりだったので、気取るのも違うなと思って。普通に『うっす』みたいな感じでしたね」

母の言葉、母の写真。
彼の記憶に刻まれた美しいもの

日々の指針となっている言葉について尋ねると、彼は家族や身近な人との会話を思い出すように語り始めた。
「母親とか友達に言われた言葉で、いろいろあるんですけど…ひとつ挙げるとしたら、『自分を大切にしてくれる人を大切にしなさい』ですね。自分を大切にしてくれる人って、いいことばかり言ってくれる人じゃない、っていうのも一緒に言われて。それが心に残っています」

そして最後に、心に残っているアートや写真について聞くと、彼は迷うことなくある一枚の写真をあげた。
「いちばん最初に思い浮かぶのは、制服を着た女子高生時代のVOGUEに掲載された母の写真ですね。ずっと印象に残っています。その当時、ギャルだったんですけど、今も変わらずギャルで(笑)。見た目は大人っぽくなったけど、心はずっとギャルのまま。そこは全然、変わってないですね」

ショップ名
kolor
フロア
3F
電話番号
03-6455-0134
公式ブランドサイト
https://kolor.jp/
公式SNS
Instagram(@kolorofficial

冨永章胤

2005年3月27日生まれ、東京都出身。2022年よりモデル活動をスタート。2023年には第38回メンズノンノモデルオーディションでグランプリを獲得し、専属モデルとして活躍する。2025年3月末、海外を視野にメンズノンノを卒業。同年6月、ミラノで開催された「PRADA」2026年春夏メンズコレクションにて海外ランウェイデビューを果たす。現在はミラノやパリを中心に海外オーディションへ精力的に参加し、活動のフィールドを国際的に広げている。
Instagram(@akitsugu.t

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