渋谷PARCOの「LOEWE」を訪れ、ギャラリーのような空間をクルーズする俳優・中島歩さん。LOEWEのモダンな装いに身を包み、早朝の静かなリズムを刻む渋谷の街角に呼応する。大学時代のモデルの経験から俳優へと歩み、子どもの頃に触れた冒険とユーモアの感覚を心に宿して、今、彼は表現の瞬間を全力で楽しんでいる。
- Photo
- Koichiro Iwamoto(kiki)
- Stylist
- Kaho Yamaguchi
- Hair & Make
- Takeharu Kobayashi
- Text
- Hisako Yamazaki
- Edit
- Mariko Araki, Naoko Kinoshita(RIDE)
新しい季節のはじまりを予感させる
「LOEWE」が紡ぐモダンな洗練
「LOEWE」のクラフトマンシップと遊び心が交差する2026春夏プレコレクションでは、ブランドを象徴するパンタ ブーツやドレープ ジャケットといったアイコニックなアイテムをバッグへと再構築。新たなシェイプとテクスチャーで、LOEWEならではのモダンな造形美を表現した。レザーを中心に、上質なファブリックで仕立てた定番ウェアやプレイフルなグラフィック、ソフトなトラウザーなど、細部までクラフトマンシップが息づくラインナップが揃う。また、ホリデーコレクションでは英国のアーティスト ルイス・ウェインによる近未来的な猫の陶芸作品からインスピレーションを得た、ユーモラスでアヴァンギャルドなカプセルコレクションが登場する。
街のざわめきが動き出す前の早朝の渋谷で、中島歩さんは2026春夏プレコレクションを纏いファッションシューティングを。新しい季節の気配を帯びた上質なウールのスーツが、まだ目覚める前の街のリズムにしなやかに呼応する。
「このセットアップがとても気に入って、欲しくなりました。すごく好みです。色合いも美しく、手触りも格別で、モダンなブランドだなと感じました」
ジャケット ¥303,600、シャツ ¥128,700、ボトムス ¥196,900、ローファー ¥162,800アートとクラフトマンシップが溶け合う
LOEWEの世界に魅せられて
俳優・中島歩さんが訪れたのは、LOEWE 渋谷PARCO店。スペイン坂の緩やかな傾斜に寄り添うように佇むその空間は、ファッションとアートが静かに交差するモダンなギャラリーのような佇まいだ。店内にはジュリアン・ワッツ、エリカ・ヴェルズッティ、ヒルトン・ネル、福本潮子らの現代美術作品が置かれ、モダンな感性がひとつの空間に響き合う。その中で、ひときわ強く美しく光るのは、20世紀を代表するオランダの建築家兼デザイナーであるへリット・トーマス・リートフェルトの2脚の椅子だ。ブランドが継承する、“クラフトマンシップとモダニティ”。この2つのエッセンスが溶け合うショップで街の喧騒を忘れ、彼は静かな時間を過ごした。
LOEWEを象徴する「パズルバッグ」が、今シーズン新たな表情を魅せる。ウィメンズの「パンタ ブーツ」から着想を得て、そのディテールをバッグへと昇華。ポケットやベルトループ、タックボタンといった要素が、モダンでエッジの効いた存在感を放つ。
ペブル メッセンジャーバッグ スモール ¥293,700
パズルバッグ ラージ ¥724,900「面白い人生にしたい」。
大学時代のモデルの経験から、俳優の道へ
「ファッションのスチールが面白いのは、どんなに奇抜な衣装でもワンポーズ、ワンショットで瞬時にその世界を表現できること。映画だったら物語が必要になったり撮影が大がかりになってしまいますから」と語る中島さん。被写体としての立ち位置、カメラの前で即興的に生まれる瞬間のケミストリー、そしてフォトグラファーとの呼吸――彼が写真を撮られる面白さを知っているのは、大学時代にモデルとしてのキャリアを積んだから。
「学生時代にモデルを始めたのは、有名になれるきっかけになればという思いでした。幼少期は周りにいた大人の教師をみて、僕自身もずっと学校の先生になるものだとそれまでは思っていたのですが」
思い描いていた教師への道から一歩踏み出したのは、大学時代に出会った友人たちの存在。
「藝術学部へ入学し、ミュージシャンや劇団で俳優をやっているクラスメイトがいた。そんな同級生をリアルに見て、『そういうことを、やってもいいんだ!』『面白い人生にしてみたい』って。ある日、ものすごくドキドキしながら、履歴書を手にモデル事務所へ向かったんです。俳優になるための足掛かりになればと思って。当時は落語をやっていたので、『きっと面接では落語をやらされるだろう』と予想して、事務所近くの小さな公園でひとり落語を練習してからオーディションへ臨んだことをよく覚えています。大学生の自分が、履歴書を握りしめモデル事務所の扉を叩いた瞬間を、『偉いぞ!よくやったな』って今はやさしく抱きしめてあげたいです(笑)。モデルの仕事を始めて、そこで出会う大人たちにすごく感化されました。カメラマン、スタイリスト、ヘアメイク……好きなことを追求して、楽しんで仕事をしている彼らがすごくかっこよく見えて。普通なら大学を卒業すれば就職するのが当たり前ですが、少し天邪鬼な性格だったこともあり、人と同じ道を選ぶ気にはなれませんでした。だからこそ、大学を卒業してからは俳優の道へ進むことにしたんです」
中島さんが纏うのは、LOEWEアナグラムのデザインがアクセントになったニットに、ライトウェイトのパッド入りオーバーシャツ。質感と造形のコントラストが、彼の佇まいに遊び心をもたらす。
アウター ¥446,600、ニット ¥214,500、ボトムス ¥165,000、ローファー ¥189,200 
芝居の面白さを知るまで――
中島歩がデビューから紡ぐ、“表現すること”
2012年、美輪明宏さん演出・主演の舞台『黒蜥蜴』のオーディションに約200人の中から選ばれ、25歳のときに同舞台で俳優としてデビューを果たす。
「『黒蜥蜴』の稽古場では、本当にどうすればいいかわからず、皆にがっかりされることも多く、できない自分に打ちのめされていました。当時は『楽しい』なんていう気持ちはなく、訓練のような心持ちで演技をしていました。今は経験を重ね、芝居が身についてきたことで、自分のやりたい表現やアイデアを形にできるようになり、やっと芝居が面白くなってきました。最近は、自分の根っこの部分をどれだけ全開にできるか――まるで蛇口を開けるかのように、表現する瞬間を楽しんでいます」
2026年1月から放送される主演ドラマ『俺たちバッドバーバーズ』は、中島さん自身の“楽しむ”感覚が色濃く反映された彼らしい作品に。
「今まで話してきた考え方や価値観を反映できたドラマになりました。自分自身が解放されていくような感覚を味わえて、とても特別な体験でした。興味のある方にはぜひ観てほしいですね」
中島さんが語る、“根っこの部分”とは何かと訊くと、「『クレヨンしんちゃん』とか『ドラゴンボール』」と彼は言う。冒険することの楽しさやユーモア、人を笑わせる喜び――その感覚が彼の原点にあるという。
「子どもの頃に観たアニメには、冒険心や笑いの要素がたくさん詰まっていて、自然と影響を受けました。だから、僕自身の人生の原動力には『面白い人生を送りたい』『冒険をしてみたい』『人に喜んでもらいたい』という気持ちが根付いている気がしています」


- ショップ名
- ロエベ 渋谷パルコ
- フロア
- 1F
- 電話番号
- 03-6215-6116(ロエベ ジャパン クライアントサービス)
- 公式ブランドサイト
- https://www.loewe.com/jap/ja/home
- 公式SNS
- Instagram(@loewe)
X(@LoeweJP)
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中島歩
1988年10月7日生まれ、宮城県出身。大学在学中にモデルとして活躍。2013年、舞台『黒蜥蜴』で俳優デビュー。2014年に連続テレビ小説『花子とアン』で朝ドラ初出演後、2015年公開の初主演映画『グッド・ストライプス』で第7回TAMA映画賞 最優秀新進男優賞を受賞。主な出演作に、ドラマ『不適切にもほどがある!』(2024年)、『愛の、がっこう。』(2025年)など。草川拓弥さんとW主演を務めるドラマ『俺たちバッドバーバーズ』が、2026年1月から放送。
オフィシャルサイト(https://tencarat.co.jp/nakajimaayumu/)




