今年5月、渋谷PARCOにオープンした「Acne Studios」。ブランドのシグネチャーカラーであるソフトピンクのモダンな空間で、菊乃さんがショップクルーズを。自身でスタイリングした2025年秋冬コレクションを纏いながら、プライベートでも愛用するAcne Studiosのデニムとともに最旬ムードを楽しんだ。都会的な洗練さと自然体の魅力を併せ持つ彼女の佇まいが、この秋冬の物語に新たな彩りを添える。
- Photo
- Yoko Kusano
- Hair
- HARA
- Make
- Boyeon
- Text
- Hisako Yamazaki
- Edit
- Mariko Araki、Kaori Tanno(RIDE)
幻想と現実の邂逅。「Acne Studios」
2025年秋冬ウィメンズコレクション
北欧・ストックホルム発のファッションブランド「Acne Studios」。1996年、クリエイティブ集団として誕生した同ブランドは、当初ジーンズ100本を友人に配布したことからスタートし、いまや世界を代表するファッションハウスへと成長を遂げた。ブランド名には“Ambition to Create Novel Expressions(新しい表現を生み出す野心)”というメッセージが込められ、アートや写真、建築など幅広い文化的要素を取り込みながら、独自のミニマリズムを築き上げてきた。
2025年秋冬ウィメンズコレクションのテーマは「異なる二つの世界がダイナミックに交差する、コントラストの探究」。ブランドのルーツであるスウェーデンの大自然と都会のダイナミックなエネルギーあふれる風景を重ね合わせ、2つの世界に共存できる幻想をコレクションで表現し、同時にひとりの女性が宿す“二面性”にもフォーカスした。
朝8時30分。渋谷の街に朝の光がゆっくりと差し込み通勤の人々の気配が漂う中、菊乃さんは静かに街に佇み…Acne Studios 25年秋冬のふわりとした風合いのパッド入りウールニットを纏って、ファッションシューティングを。手に持ったバッグは、クリエイティブ・ディレクターのジョニー・ヨハンソンがキャリアの初期に大型ポラロイドカメラとレンズを運ぶために使用していたバッグから着想を得た、機能性と実用性を兼ね備える「Camero Bag」だ。





Acne Studiosの美学と
都会のエネルギーが交差する場所
今年5月、渋谷PARCO 2FにAcne Studiosのショップがオープン。約70平方メートルの広々とした店内は、ブランドのシグネチャーカラーであるソフトピンクを基調とした温かみのある空間で統一されている。菊乃さんが座るピンクのソファーは、世界的に著名なデザイナーのマックス・ラムによって制作された。ブランドの洗練された美学と東京のエネルギッシュなカルチャーが融合した象徴的な空間として注目を集めている。
菊乃さんが着用するのは、ドロップショルダーに仕立てたレザーのバイカージャケットと、ブランドを象徴するソフトピンクの「1981ジーンズ」。デニムが醸し出すヴィンテージ感は、手作業によって施されたピンクカラーのスプレーと汚れ加工によるもの。
「アクネ、すごい好きです。アクネのデニムはワイドなシルエットにダメージ加工がしてあるデザインでもシルエットが美しく、落ち着いた印象なんですよね。自分の体にぴったりフィットして安心感があります。パワーショルダーのインパクトのあるトップスには、丈の短いボトムスを合わせるという、まさに最近の気分でスタイリングしました。普段、洋服を選ぶときはコンフォータブルな感覚をすごく大事にしています」(菊乃さん)





(右)マルチポケットバケットバッグ ¥282,700


感性のルーツは幼少期に。
両親から受け継いだ美意識
菊乃さんは、都会的な洗練さと自然体である柔らかさが同居する魅力を持ち合わせ、どこか抜け感のある立ち振る舞いや表情には、肩の力を抜いた日常の美しさが漂う。同時に、彼女の佇まいやファッションセンスには確かな個性と芯の強さが感じられ、どんなスタイルも自分らしく、かつ洗練された印象に昇華させる力を持つ。彼女の感性を培ったものとは――。
「両親が洋服をはじめ、家具や器などがすごく好きだったので、幼い頃からいろいろなものを見せてもらった気がします。90年代頭に生まれた私ですがその頃の写真を見ると、母のファッションはどこかノスタルジックで『やっぱり好きだな』と思えるスタイルなんです。気づけば無意識のうちに、その当時の母と似た服を選んでいて、自分の中のアイデンティティとして、両親のセンスみたいなものは引き継いでいるのかなと思います。
子どもの頃はとてもアクティブで、スカートを履くタイプではなく、友達もほとんど男の子ばかり。絵を描くことも大好きで、たくさんの色がある色鉛筆を買ってもらい、公園でよく絵を描いたりもしていました。お洋服を選ぶのがすごく好きだったみたいで、幼稚園の頃には毎日『絶対これを着ていく!』と主張していたそう。母いわく、その説得はいつもひと苦労だったとか(笑)」



女性らしさとボーイッシュなスピリット。
2つの顔を宿す、“紫”の魅力
菊乃さんはエレガントでしなやかな雰囲気の一方、無邪気さや自由さものぞき、スタイル次第でそのどちらの顔も自在に見せてくれる。
そんな彼女が、自分自身を色で表すとしたら“紫”。昔から好きで、気づけば持ち物の多くが紫になっていたほどだという。10年前に立ち上げた自身のブランド「PURPLE THINGS」も、その色への愛着から名付けられたそう。「紫は赤と青の融合で生まれる色ですよね。女性的な部分も、男性的な部分も自分にはある気がして。そのミックス感が自分を表しているのかも」と彼女は語る。まさに彼女の中に宿る二面性と調和が、“紫”という色に映し出されている。



- ショップ名
- Acne Studios
- フロア
- 2F
- 電話番号
- 050-5050-8228
- 公式ブランドサイト
- https://www.acnestudios.com/jp/ja/home
- 公式SNS
- Instagram(@acnestudios)
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菊乃
1990年10月5日生まれ、東京都出身。写真学科を専攻後、サンフランシスコやロンドンでデザインを経験し、2015年に自身のブランド「PURPLE THINGS」を設立。ジェンダーレスな感性とリラックス感を融合させた服づくりで注目を集め、自身のYouTube「STAY IN BED」を配信するなど、活躍の場を広げている。
Instagram(@kiki_sun)