4年前、水原希子と友人である写真家・茂木モニカはカリフォルニア・シエラネバダ山脈を訪れ、旅の狭間で気の向くままに撮影を行った。雄大で神秘的な自然に心揺さぶられ、共鳴するように解放された身体。友人との旅での親密で無垢な空気――二人の間でしか生まれ得なかったプリミティヴな力強さと美しさを持つそれらの写真たちを体感できる写真展『夢の続き Dream Blue』がPARCO MUSEUM TOKYOにて開催(3月20日〜4月4日)。同時に、同タイトルの写真集もパルコ出版より発売。本人たちのディレクションのもと構成された、奇跡的な瞬間をいくつも焼き付けた夢のような旅の様子を追体験できる展示会場にて、撮影時のエピソードから互いの関係までを聞いた。
- Photo
- Monika Mogi
- Text
- Ryoko Kuwahara
- Edit
- RIDE MEDIA&DESIGN inc.
——今回の作品群はシエラネバダ山脈をロードトリップした際に撮られたものだそうですが、 4年前に撮られた写真をいま出そうと思ったのはなぜだったんでしょう?
茂木モニカ(以下、茂木)「この写真を撮ったときには本を作るということは考えていなくて、ただ希子と私とデザイナーのクリスティンの3人でロードトリップに出て、プランもなく自然に撮っていたんです。でも私のキャリアの中でこの写真が一番好きで、本当の自分と本当の希子を写し出せたものだから世界に見せたいなとはずっと思ってました。いつどうやって出そうとかちゃんと考えてなかったんですけど、コロナになって、やっぱり自分たちがやりたいことを頑張ろうと思って、それがきっかけとなって3ヶ月で作り上げました」
水原希子(以下、水原)「この旅は自然の中に解放されに行こうというのが一番の目的で、写真を撮ることが目的ではなかったんですよね。でもどれもとても特別な写真。コロナ前は好きなものもあるものの目まぐるしく仕事をこなすみたいなところも正直あったりした中で、いまこうなって明日どうなるかもわからないという危機感を感じたときに、自分が心から好きなものや大切にしているものを発信したいし、自然体の自分を見せることで、ちょっとでも自由や解放感を感じてもらえたり、ありのままでいいんだと思ってもらえたらと考えました」
——写真集に入れる写真は二人で選ばれたのですか?
水原「はい。でもモニカが写真を全部持っているから、共有しながらも基本的には彼女が全部レイアウトしています」
茂木「写真を掘り起こしてたら撮ったことを覚えていないものもあって、それを思い出しながら見直してました。旅をした時に私は24歳、希子は26歳で、それぞれにプライベートでの人生もエモーショナルな頃だったからすごく特別な思い出で、それを切り取った写真を見直しながら追体験してたんです」
——写真を選ぶ際のポイントは?
水原「モニカがこだわったのは陽だよね」
茂木「うん、サンライズとサンセットの流れ。ロードトリップしていた3日間は太陽を追っていたような感じでした」
水原「写真集の最初は陽が昇っていってサンライズになって、そこから陽が落ちていくようなレイアウトになっています。撮影している時も陽はすごく感じてたよね」
茂木「最後の方の写真は、太陽も沈んで真っ暗で、本当に誰もいなかったからちょっと怖いような、スピリチュアルな感じがしていて、希子も泣きそうな表情をしているんです」
——旅の中で特に印象的なエピソードは?
水原「すごくいっぱいあるけど、最終日くらいに大きい岩があって砂漠が広がってるキャニオンのような場所を運転したんですよ。そしたら突然白い世界が見えてきて。まさか砂漠から雪景色になるなんて予想してなかったからすごくビックリしたし、興奮しました」
茂木「しかも7月にね。30分くらいの運転で砂漠から雪になるという、斜めにランドスケープが起こってるようなすごく不思議な場所でした。雪があるのにあたたかいんですよ」
水原「誰もいないし、本当に夢の中みたいだった。もう一つ、クリスティンが『太陽に向かって脚を開くと太陽のエネルギーを吸収できてすごくいいらしいからやろう』って言い出して、その後に撮ったのがブルーのピクニックブランケットの上で寝転んでる写真(笑)。すごく貴重な体験でした。気持ち良くて解放的だったよね」
茂木「うん、みんなにやってみてほしい」
水原「ね。でも誰もいないところを探さなきゃいけないから難しいかな(笑)」
——今作のヌードには自然との共生を感じると同時に、自分の身体は自分のものという意思も感じられました。
水原「それは大前提としてあって、撮っている時にそういう意識はしてないですね。本当に自然人に還ったみたいな感じで、綺麗な場所だし、誰もいないから裸足になって裸になって。そしたら妙に生命力が湧き上がってきたり、嬉しかったり、走りたくなるような気持ちにさせられたり、感動してエモーショナルになったり、とにかく心がずっと揺れてるみたいな体験で、それをモニカが撮っていて。ヌード写真集を出す時や身体の露出が多い映画に出る時、“覚悟のヌード”という風にネガティヴに捉えられることが多いと思うんですが、これは全くそうじゃなくて、本当にあるがままの姿でそこにいるという状態。だから、女の人が頑張って裸になった、身体を張ったみたいな感覚で見に来たらきっと拍子抜けするんじゃないかな。セクシャルな感じでは全くなく、女性の裸体をポジティヴに捉える人間賛歌のような感じです」
茂木「写真って身体の角度だけで印象がすごく変わるじゃないですか。これはセクシャルな部分ではなく、力強さみたいなものが自然に出てきてると思います。大きな岩のところを登ってる写真はすごくたくましく見えるし、希子が太古の時代の人みたいな感じで。裸足で土を触るとやっぱりなにかが変わるんですよ。誰でも一度は裸で自然を走ってみてほしいと思う。本当にフリーになって、気持ちいいんですよね。私はこの写真を見て、セクシャルというんじゃなくそういう自由を感じる」
水原「この撮影全てが自然に身を任せて、自然の一部になったような気持ちでした。本当にありのままの自分だと思います。大自然の中で裸で解放されるという、人生で一度できるかどうかという体験。写真の中にあるその解放感は、年齢も性別も関係なく、人間対人間として何か感じることがあると思います」
——今回の写真がまさにそうですが、水原さんにとって、茂木さんは本当の自分を写してくれる写真家だと常々おっしゃっています。お二人の信頼関係が築かれたのはどういうところからだったんでしょうか。
水原「最初は仕事で会うことが多かったんですけど、彼女が撮る写真が素直にすごく好きで、いちファンでした。育った境遇が似てたり、好きな音楽やアート、カルチャーも似ていて。自然のある場所へ出かけることが好きだったりとかもそうですが、波長が合うんです」
茂木「なぜかいつも二人の人生がシンクロしてるよね。例えば私が恋に落ちたら彼女も恋に落ちてる。だから同じタイミングで話せるし、わかりあえるし、何もしなくても楽しい」
水原「恋愛のタイミングも別れる時も大体同じ(笑)。二人でたくさん話すし、励ましあうこともあれば、出来事をどこか俯瞰して見てるのも同じで、その会話がなんとなく仕事に繋がったり。言葉ではあまり定義できない、どこか繋がってるようなすごく不思議な関係なんです。こんな人にはあまり出会えないと思う」
——茂木さんにとって水原さんの被写体としての魅力は?
茂木「希子は自分でリミットを作らない。他の人を撮影するとちょっと抑制してるのを感じることもあるけど、希子は自分の本当の顔を見せるのを怖がってないから、フォトグラファーとしてはすごく楽しい。格好良く見せてねっていうんじゃなく、信頼してくれてるから」
水原「モニカもポーズが好きじゃないんですよ。たまにポーズを取ってると、カメラを下ろしちゃう(笑)。モニカの写真がシネマティックな感じがするのは、多分動きを撮ってるから。静止してる感じが全くなく、生きてる感じがするんですよね。そこが彼女の魅力。そういう写真が好きだし、そういう写真を撮る人は希少で、しかもその中で被写体の一番いい部分を引き出すというすごい特殊能力を持ってる人」
茂木「この撮影は奇跡的な瞬間が多かったね。あの走ってる写真も、レンズのリフレクションでちょうど虹がいいところにかかって」
水原「露出計とかで測ってもないのに、計算されてない奇跡でしかない写真がたくさんあったよね」
茂木「展示会場ではライトボックスで、この時に撮った写真のほとんど全部が見れるようになってます」
水原「それによってこの写真たちがどれだけナチュラルな環境で撮られたかがより見えてくるかなと思います。展示でもすごく大事なパートになっています」
——茂木さんはPARCOの広告が好きだったそうですが、PARCOでの展示、出版を実現された気持ちは?
茂木「写真を始める前からずっと70年代、80年代のPARCOのCMが大好きで、私たちからこの展示と写真集をアプローチしたんです。それなのにこんなに自由にやらせてもらって嬉しかったです」
水原「PARCOさんはずっと文化を作ってきてるから、アートに対してのリスペクトがすごくあって、そこの価値観が一緒だったから心強かったし、ありがたかったです。この写真は私たちにとってとても貴重な時間に撮影されたものだったから、出すんだったら自分たちが絶対に後悔しないような形で、自分たちのちゃんと手の中にある状態でリアルに表現したいと思ってたんですけど、自分達の想像以上のものができて本当に嬉しかったです」
——渋谷PARCOで水原さんはサステナブルをテーマにした”CYCLE“の企画にもご自身のブランド「OK」(CYCLE POP UP STORE内)で出店されています。
水原「サステナビリティに関してはみんなが意識してやっていくことが大事だと思うので、一個人として生活をする上で気をつけてることはあるんですけど、ファッションを通して伝えられることもあると思っていて。いまは子ども用の古着を解体してバッグを作ったり、回収されてきた衣類ゴミからの再生繊維を使ってニットのカーディガンやバッグ、帽子などを作っています。 前回のPOP UPで、妹が古着の服を使ってぬいぐるみやクッション作ったものが好評で即完売したので、今回も妹が古着からぬいぐるみを作ってます。あと、使われなくなったアクセサリーのパーツを全部解体して一個のチェーンにつなげたマスクホルダーも販売予定。一個一個手作りなのですごく大変なんですけど、やりがいがあります。捨てられてしまうようなものをこんな綺麗な形で生まれ変わせられるんだよと伝えることや見せること、その姿勢がすごく大事だと思っているので、ちょっとずつですけどチャレンジしてます。みなさんがそういうものに価値を感じてくださったらすごくいいなと思います」
水原希子写真集「夢の続きDream Blue」水原希子・茂木モニカ サイン入り写真集 プレゼント
2021年3月29日(月)~4月11日(日)の期間中、渋谷PARCO公式インスタグラムにてプレゼントを開催いたします。
<応募方法>
① Instagram公式アカウント「@parco_shibuya_official」をフォロー
② 3月29日にUPされた @parco_shibuya_officialの水原希子写真集「夢の続き Dream Blue」水原希子・茂木モニカ サイン入り写真集 プレゼント対象投稿に「いいね!」
③「いいね!」していただいた投稿のコメント欄に、コメントをお願いします。
ご参加いただいた皆さまの中から、抽選で2名様にプレゼントいたします。
ご当選の方へDMにてご連絡致しますので、渋谷PARCO公式インスタグラム@parco_shibuya_official(@parco_shibuya_official)のフォローをお願いいたします。
※アカウントが非公開設定の方、フォローが外れている方は抽選対象外となります。
※応募はお一人様一回限りと致します。
※既にフォローいただいている方も対象の投稿にいいね で抽選参加となります。
※当選の権利はご当選者様本人のものとし、第三者への譲渡(有償・無償を問わない)・換金を禁止させていただきます。
<当選発表>
厳正なる選考の上、2021年4月中旬頃、当選者にのみインスタグラムのダイレクトメッセージにてご連絡し、賞品の発送をもって当選に代えさせていただきます。また、賞品の発送は2021年4月下旬を予定しております。諸事情により多少前後する場合がございますので、あらかじめご了承ください。
※賞品の発送先は日本国内に限ります。お客様のご住所・転居先不明などにより、お送りできない場合がございます。
※期日内にダイレクトメッセージへの応答のない方・当選連絡後、住所等の情報のご提供のない場合は、当選が無効となります。
※当選された方から提供いただきます個人情報は、本キャンペーンの当選のご案内・賞品発送にのみ使用いたします。
※当選理由についてのお問合せは一切受け付けておりません。
※ソーシャルメディアの運用を妨害する行為、趣旨に反する行為、弊社が不適切を判断する行為は禁止致します。
※当キャンペーンはFacebook社Instagramとは一切関係ありません。
※本キャンペーンは、予告なく変更・中止する場合がございますので予めご了承ください。
- 展示名
- 水原希子・茂木モニカ 写真展「夢の続き DREAM BLUE」展覧会
- 会場
- PARCO MUSEUM TOKYO(渋谷PARCO 4F)
- 会期
- 2021年3月20日(土)~4月4日(日)
- 時間
- 11:00〜20:00 ※⼊場は閉場の30分前まで。最終日18時閉場。
- 入場料
- ¥1,000 ※未就学児無料。
- 11:00〜20:00
※営業日時は感染症拡大防止の観点から変更となる場合がございます。詳しくは渋谷PARCOのHPをご確認ください。
※本展覧会は、ヌードを含む表現がございます。ご了承ください。
- タイトル
- 水原希子写真集「夢の続きDream Blue」
- 写真
- 茂木モニカ
- 仕様
- A4判ハードカバー160ページオールカラー
- 予価
- ¥3,300 ※4月15日全国書店発売(3月19日展覧会先行発売)
- 刊行
- PARCO出版
水原希子
1990年生まれ。兵庫県神戸育ち。モデル活動を2003年よりスタート。2010年に映画『ノルウェイの森』で映画デビュー。その後、国内外のファッション誌や広告、テレビドラマなどで活躍。自身のプロジェクト「OK」では クリエイティブとピースな思想を共有できるクリエイターたちと共にアート作品やプロダクトコラボやイベントなど実験的なプロジェクトを世界に向けて発信している。
Instagram(@i_am_kiko)
茂木モニカ
1992年生まれ。10代で『VICE』のフォトイシューでデビューして以来、ファッション誌や広告キャンペーンを中心に活躍。デジタルカメラは一切使用せず、全て35mmのフィルムで撮影を行う。バルセロナのアートフェスティバルでショートフィルムなど映像作品を出展するなど、その活躍はスチールに留まらず多岐に渡る。
Instagram(@monimogi)