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Interview YOON & VERBAL Co-founders of AMBUSH®

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Interview YOON & VERBAL Co-founders of AMBUSH®
Interview YOON & VERBAL Co-founders of AMBUSH®

2017年にはLVMHプライズのファイナリストとして選抜、NIKE、UNDERCOVER、SACAIなど名だたるブランドからのオファーが絶えないAMBUSH®。カニエ・ウェストやファレル・ウィリアムスらクリエイターたちからも寵愛されるなど、グローバルな人気を集めるAMBUSH®のファウンダーYOONとVERBALに、これまでの歴史からルーツである渋谷への想い、パルコでの新たな挑戦についてなどを聞いた。

Photo
Ryosuke Yuasa
Hair
Go Takakusagi(VANITES)
Edit
Ryoko Kuwahara
Director
Mariko Araki(RIDE)

——AMBUSH®設立から約10年が経ちましたが、体感としてははやかったですか?振り返ってみるといかがでしたか?

YOON「あっという間だったなと思います。本当に自然な流れで今まで来ています。元々私はグラフィックデザインの勉強をしていたんですが、そこから色々な経験をしていく中でモノづくりやブランドというものの全体像を把握して形にしていったんですね。自分の経験がすべてが大きな糧になって、振り返れば全てが繋がっていった、そんな10年だったかなと思います。ただファッションを見るだけではなく、経験を通して感じて、イメージして、作って、そんなことをひたすら繰り返してーーそうやって良い意味でたくさん遊んだので自分たちのやりたいことや好きなことがハッキリしていきましたね」

VERBAL「最初からブランドを始めようと思っていたわけではなく、YOONの持つ才能を活かすためにデザインチームを作ったことが全ての発端です。そこから色々な出会いがあって今に至ったという感じですね」

YOON「ファッション自体は子どもの頃からすごく好きだったのですが、仕事にしたいと思っていたわけでも、スタイリストになりたいと思ってやっていたわけでもなかったんです。外から人を入れることで失敗するというのを何度も繰り返して、自分たちでやった方がいいなと思って始めたことが今に続いています」

——そのやりたいことや好きなことについては、常にお二人で方向性を話し合われてきたんでしょうか。

VERBAL「基本的にはYOONが方向性を決めていましたし、未だにそれは続いています。既成概念にとらわれない“自分たち独自のあるべき姿/方向性”をYOONが形にしてくれています。そもそも彼女は出会った学生時代から良い意味でとてもユニークだったんです。アメリカではアジア系の人口が全体の5パーセントなんですが、アメリカに住んでいるアジア系はわりとカジュアルな格好の人が多くて。そんな中でYOONは颯爽とヴィンテージを身に纏っていて、聴いている音楽もグランジだったり、全体的にトンがった印象があってひと際目立つ存在だった。そういう姿を見てきているのもあって、昔から彼女のセンスや才能には全幅の信頼があります」

YOON「あと、二人とも真面目に勉強するタイプで、勉強がとても大事だというのは共通認識としてあるかもしれません。今も常に何か読んでリサーチしていますし、ハマったらすべて知りたくなるタイプだからとことん追求しています。根底にそういう勤勉さがあることがわかっているから、お互いに理解もしやすいんじゃないでしょうか」

VERBAL「そうですね。YOONは勉強家なので他ブランドの動向をリサーチしたりファッションビジネスを学んだりして、オン・ザ・ジョブ・トレーニング的に色々と試行錯誤を重ねていっているのを見ていましたから」

——SNSだけを見ていたら最初から成功しているような印象を受けるかもしれませんが、そんな積み重ねがあったのですね。

YOON「どんなジャンルでも、ビジネスとして形になるまで時間はかかるものなんです。モノを作るのにはお金がかかりますから、ブランドを立ち上げてビジネスにすることと、セレブが着てくれて一時的にSNSのフォロワーが増えるというのは全く別の話。セレブが着てくれることはプレス的には良いことかもしれないけれど、それだけで食べていっているブランドは無い。それはブランドのベースにはならないことです。
AMBUSH®はVERBALも言ったように自然に立ち上がったものだったので、作りたいモノを作るということを続けていく過程で、二人の中で“これは趣味じゃないか”という時もあったし、趣味で終わるかビジネスにするのか悩んだ時期もありました」

VERBAL「リアルな話をすると、AMBUSH®のビジネスは自銭で始めて、最初の数年間結構辛い時があったんです。例えば、ありがたいことですが、大量のオーダーがくるとその生産のための費用がガツンとかかってしまうので、次の入金までキャッシュが心もとなくなってしまうドキドキがあったり(笑)。そのせいで一回コレクションをスキップしないといけないこともあったんです。それでもYOONがずっとクリエイティヴに対して真剣に突っ走ってくれたから今のスタイルを培うことができたんですが、もちろんブランドの歴史を振り返ったら良いことだらけではなかったんですよ」

YOON「そういうビジネスに関する話し合いも真剣にして、結果的に“よし、人生は一回なんだしやってみるか!”とコレクションを本格的に始めたのが2012年くらいでした」

——そして2015年からは展示をパリに移されましたが、その決断に至る経緯はどんなものだったのでしょうか。またそのことによって生まれた変化は?

VERBAL「YOONが“パリに行こう”って突然言い出したんです(笑)。当時は売れてなくはないけどパリでやるという規模でもないという感じでしたから、どこからどう始めていいかもわからない中、自分たちのネットワークを通して手探りながら会場を設けたりして」

YOON「何年かやってきたなかで、次のチャレンジを探していた時期だったんですよね。いろんな意味でステップアップを目指すならパリじゃないですか。映画ならハリウッドだし、ファッションならパリ。ノウハウはなくてもとりあえずその場所に作品を持っていったら自分たちにも勉強になると思って行きました」

——計画的ではなく、先ずは行くという意思・行動ありきだったんですね。そして実際に行ってみたら大きな反響があった。

YOON「はい。たぶん自分たちが作りたいものを作っていて、トレンドに合わせていないところが良かったんだと思います。パリではAMBUSH®がやっているようなジュエリーがなかったし、逆に全くトレンドに合っていないというのがファッション的な目線で見て面白かったんじゃないかな。単純なんですけど、作って発信してみたら海外での方が反応が大きかったので行ってみたということもあったりもします」

VERBAL「YOONの作風自体がそもそもワールドワイドで通じるものだったというのもあると思うんです。だからカニエ・ウェストなど海外の色々なアーティストの方たちが好んで着用してくれたのもありました。あと、実際に海外で展示会をやってみたらすごく出会いが多くて。『VOGUE PARIS』の編集長エマニュエル・アルトが突然会場にフラッと入ってきてYOONと会話して、“このブランドは面白いから次号で載せる”と言い始めたり(笑)、こんなことが本当にあるんだって信じられないようなことがよく起こりました。海外は先入観が無いので、パッと見て面白いと思ったらオーダーしたり載せたりということが自然にあるんですよね」

——VERBALさんがおっしゃるように、良いと思わせるだけのポテンシャルを持った作品だということがあった上での広がりですね。今はブランドとして服づくりも手がけられていますが、先にジュエリーがあって、そのキャンバスとしての服があるとYOONさんはおっしゃられています。キャンバスだからこそ自由さを持って遊べるといったスタンスですか?

YOON「今は服の方もビジネスとして大きくなっているので、気持ちとしては遊びたいと思っていますが、もうちょっとしっかりしていきたいというのもあります。今までユニセックスでやってきているので、そういう風に考えてやってきたのですが海外での店舗数もかなり増えてきただけにこれからはユニセックスも続けつつ、プラスアルファとしてメンズ・レディースにわけたものも増やしたいなと考えているところです」

——NIKEをはじめ、UNDERCOVER、SACAIなど様々なブランドとコラボレーションされていますが、コラボはお好きですか?

YOON「はい。ありがたいことに多くのオファーを頂いているんですが、まず自分たちがリスペクトしているところじゃないと一緒にできないです。あと、自分たちが作れないものを作れるようなところとコラボレーションすることで、できるものがあるならやりたいという考えもあります。一緒に仕事をやるなら何か吸収したいですから」

——YOONさんはDior Menのジュエリーデザインを手がけられていらっしゃいますが、AMBUSH®とのバランス取り方をどう考えていらっしゃいますか。

YOON「Dior Menにはクリエイティヴ・ディレクターがいるし、ブランドとしてのコードが既にあるので、その中で新しいアイデアを出す感じでやっています。逆にAMBUSH®は完全に自分のブランドですし、歴史も無いから、今後ブランドとして紐づけられるアーカイヴやDNAを自分で築いていこうとしているスタンスですね」

——Dior Menの歴史やアーカイヴを学んだことでAMBUSH®にフィードバックされたこともありますか?

YOON「ありますが、Dior Menが60年代に作っていたものも、当時は“60年後はこういう形で残る”という発想で作られたものではないと思うんですよ。その時その時で一つずつ積み重ねてきたものを大事にしてきただけで。フランスのブランドにはそういうプライドがあると思うのですが、そういうプライドを持ってモノづくりをする姿勢は勉強になりました。自分たちもそうやって一つ一つを大事に作っていきたいです」

——Dior Menのキム・ジョーンズもそうですが、LOUIS VUITTONのヴァージル・アブローのデザイナー就任など、ファッション業界が大きく動いている現状を様々なコレクションをご覧になっているお二人はどのように捉えていらっしゃるか教えていただけますか。

YOON「ファッションはお客さまのフィードバックがあって成立するもの。時代は変わるし、お客さまも変わっていっているので、古いハウスがスタンスを変えずにやっていては成立しない。だから今こうやってお客さんの反応に対して色々なことが変わっていっているのは、ごく自然なことだと思います」

——特に今はSNSでダイレクトに反応を見ることができます。

YOON「SNSはもちろんですが、価値観そのものの変化も大きいですよね。かつてファッションといえばお金持ちがこだわるものという印象が強かったけれど、今はそうではなく多種多様な方たちが楽しむものになっているので価値観も当然変わる。それをハウスも感じているんじゃないでしょうか。ただ、SNSによってスピードは変わってきたと思います。今までブランド側が一方的にメッセージを発信してきたけど、SNSが登場して、よりスピーディに、インタラクティヴになってきている。でもそんな時だからこそブランドの立場がもっと強いものになっていかなきゃならないとは個人的に考えています。情報や反応によってブランドの軸が揺らいで行くと、本来大切にすべきコア/DNAが無くなってしまいますから。実際にAMBUSH®でも、トレンドとブランドの方向性は別のものですから、そこにペースを合わせないようにしています」

——では、AMBUSH®としてブランドのコアとなるのはどういったものでしょう?

YOON「普段のクリエイティヴに関してはその時々で自分が感じるものや好きなものを形にしている感覚なんですが、コアとなるのはやっぱりジュエリーです。色々遊びはするけれど、ジュエリーとしてのDNAはキープしていきたいです」

VERBAL「トライバルやフューチャリスティックだったりというAMBUSH®のジュエリーのテイストはもちろんですが、なにより彼女は“作るんだったら中途半端はダメ”というスタンスで、そういうスタンスがAMBUSH®のDNAとなる面白さや思い切った創作物になる根源なのかなと思います」

——AMBUSH®も映画や音楽、写真などカルチャーに根ざしている印象ですが、ヴァージルやキム、ラフ・シモンズなど近年人気を集めているデザイナーはカルチャーに密接な傾向があるのも個人的には気になっています。

YOON「カルチャーだけではなく、色々なことが見えている人がファッションを手がける機会が増えている気がします。先ほど言った、情報や反応に揺らがない強く厚みがあるものが求められているというのが、まさにそういう人たちの作るファッションですよね」

——ああ、とてもよくわかりました。先日のNIKEとのコラボレーションでもかなり日本を意識したデザインになっていましたが、グローバルでもファンの多いブランドだけにMADE IN JAPANや日本らしさというのは積極的に取り入れているんでしょうか。

YOON「完全にMADE IN JAPANにするのは難しいですが、できるだけそうしたいとは思っています。NIKEとのコラボはFIFA女子ワールドカップのためにコレクションを作って盛り上げていきたいというものだったので、より日本らしさを意識したものでした。また、夏に試合が開催されるので、夏祭りをイメージして法被のテイストを取り入れたというものです。
なぜ東京や日本をフィーチャーするかというと、AMBUSH®は東京でスタートしたブランドなので、自分たちのルーツは忘れない方が良いと思っているんですね。ブランドとしては海外の展開が大きくなってはきているのですが、ちゃんと東京の側面は見せていきたいですし、大切にしたい。そういう意味では、渋谷でスタートしているというのもあって、いつかは渋谷で終わらせたいんです(笑)」

——いやいや、終わらせないでください(笑)。 お話にあったように確かにVERBALさんのスタジオも渋谷ですし、直営店であるAMBUSH® WORKSHOPに位置していますが、どうして渋谷だったのでしょう?

YOON「“ブランドを大きくするには港区じゃない?”という意見も正直あったんですけれど(笑)、私たちが一番自然に動ける場所でやりたかったんです。ブランドとしても渋谷が一番合っていると思ったし。始めた当初はアトリエ周りも何も無かったんですけど、今では色々できて……そこも渋谷の魅力ですね。新しいエネルギーが常に行き来していて、古くて上手くいっていないものは自然と無くなっている気がするんですよ。だから私は渋谷の風水は良いと思っています(笑)」

——VERBALさんが最初にスタジオを渋谷に構えたのはなぜだったんですか。

VERBAL「なんとなくです(笑)。ミュージシャンの友達がこの辺に住んでいてよく遊びにきていたのもあったのですが、渋谷に拠点があったら便利だなと感じてスタジオを構えてみたら居心地が良くて。で、ショップをオープンするときに色々な物件を見た結果一番しっくり来たのがやっぱり渋谷だったんです」

YOON「そう、自分たちだけでショップを構えられる建物を見つけられたことは大きかったです。自分たちのスペースで自分たちの作ったものを発信できるから。DIYでやっているので、港区などでの発信の仕方は色々と難しくて」

——渋谷という街自体がクリエイションに影響することはあります?

YOON「もちろん。歩いている人を常に見ているし、建物の入れ替わりを見ると時代が見えるのですごく勉強になりますね。センター街で人を見るのが大好きなんですよ」

——渋谷を代表するものの一つにパルコがあると思うのですが、パルコには何か思い出はありますか。

YOON「よく行ってました。渋谷のパルコが最初にできたのが1971年で、その頃の雰囲気が残っているのが好きでした。その雰囲気も残しつつ2020年バージョンのパルコがどうなっているのか楽しみです。そして自分たちのホームである渋谷を代表するパルコでAMBUSH®のセカンドショップが入るというのはとても嬉しいことなので、パルコならではの新しいチャレンジをしようとスペシャルラインを企画しているところです。コレクションのストーリーとはまた別の世界観で、卸店では手に入らないショップオンリーのラインを用意しています。あと、今回内装にもこだわって、スペースが限られているぶんとことん遊ぼうと思って作ったので、来られる方の反応を見るのが待ち遠しいです。オープンなスペースに沢山のお店がある中に自分たちのショップがあるという環境なので、自分たちにとってもこれまでとは違う目線で色々なことが見えてくる貴重な学びの場になると思っています」

AMBUSH®の日本製にこだわった新しいBLACKライン ”ARTISANAL”が、渋谷PARCOオープンと同時にローンチ予定。

渋谷PARCO限定商品
FOOTBALL JERSEY MIX TOP ¥36,000(税別)

YOON

AMBUSH® デザイナー。2008年にブランドAMBUSH®をスタート。2017年にはLVMHプライズのファイナリストとしてAMBUSH®が選抜され、世界から注目を集める。2019年春夏シーズンよりDior Menのジュエリーデザインを担当。

@yoon_ambush

VERBAL

AMBUSH® CEO。アーティストとして音楽ユニットm-floのメンバーとしても活躍。Pharrell Williams、Kanye West、J.Balvinなど海外のアーティストとも交流が深く、独自のコネクションを活かし数多くのコラボレーションやプロジェクトを実現。

@verbal_ambush

ショップ名
AMBUSH®
フロア
渋谷PARCO 2F
取り扱いアイテム
Women’s/Men’s
公式サイト
https://www.ambushdesign.com/

AMBUSH® - 東京カルチャーをキャプチャーした実験的なジュエリーラインは、POP ARTが根幹となり始まった。代表作ともいえるPOW!® モチーフは、世界中のメディアやアーティストから注目の的となる。ブランドのコンセプトを更に表現するために、ジュエリーの「キャンバス」としてアパレルを加え、ユニセックスなコレクションのデザインへと進化を遂げていった。2015 年にはパリで初の展示会を開催し、その後世界のファッションビジネスを中心とするオンラインニュースサイト “Business of Fashion (BOF)” が発表する「ファッション界を変える世界の500 人」にVERBAL & YOON の2人が2015 年度以降、4年連続精選した。2017 年にはモエ ヘネシー・ルイ ヴィトングループ(=以下LVMH)が、若手デザイナーの育成・支援を目的としたファッションコンテスト「LVMH PRIZE」にてAMBUSH®はトップ8のファイナリストに選ばれた。AMBUSH® のユニークな技術で造られた唯一無二のスタイルは、各界のインフルエンサーにも絶大の指示を受け、Louis Vuitton ( Kim Jones )、sacai、UNDERCOVER、Off-White、SHU UEMURA、Nike、CONVERSE、Rimowa、GENTLE MONSTER といったクリエイター達の依頼やコラボレーションを実現させた。2018年にはAMBUSH® 初となるランウェイプレゼンテーションをAmazon Fashion Week Tokyo の一環として披露。また、Dior Men のKim Jones が 同ブランドのジュエリーデザイナーとしてYOON を任命し、2019 SS シーズンにパリで初コレクションを発表する。

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