儚さと強さ、そして美しさ――それは、表現者 シム・ウンギョンさんの佇まい。クリアな空気に包まれた彼女は、韓国と日本を行き来しながら、新しいチャレンジに挑み続けている。カルチャーを感じられる渋谷PARCOが大好きだというウンギョンさんが、伝統や革新、職人技と遊び心…など様々なファンタジーを秘めたエッセンスでファッションを生み出す「LOEWE」をクルーズ。2023プレフォールコレクションを纏った瞬間、かつてないほどに胸が高なる特別なときがはじまる。
- Photo
- Yuki Kumagai
- Styling
- Yoshiyuki Shimazu
- Hair&Make
- Yoko Fuseya(ESPER)
- Text
- Hisako Yamazaki
- Edit
- RIDE inc.
削ぎ落とされた美。
さらなるシンプルを探求したLOEWEの洗練
北野武が壁に立てかけられた電話の前で、ナイフとフォークを持って、じっとこちらを見つめている――写真家 ユルゲン・テラーが撮り下ろした「LOEWE」2023プレフォールコレクションのキャンペーンには北野武のほか、俳優のオーブリー・プラザ、マイハラ・ヘロルド、ソノヤ・ミズノ、音楽家のデヴ・ハインズ、モデルのシャオ・ウェン・ジュ、アーティストのナイリー・バグラミアン、キュレーターのハンス・ウルリッヒ・オブリストなど、様々なストーリーと個性を秘めた11人のモデルを起用。シーズンテーマである、現在の審美的なものづくりを進める還元主義の精神――削ぎ落とされた基本形を際立たせ、シンプルさをさらに探求したコレクションを表現した。端正なフォルム、大胆なディテール、彫刻的な要素の組み合わせ。パセオ サッチェルやハンモック ホーボーミニなど、レザークラフトとして革新し続けてきたLOEWEらしさを感じられる名作バッグも登場。
シンプルで構築的。折りたためば平面に。
パズルバッグの新作「パズルトート」が誕生
ブランドのアーカイブにあった「オリガミバッグ」を着想源に、クリエイティブ ディレクターのジョナサン・アンダーソンがLOEWEで初めてデザインした独創的な「パズルバッグ」は、ブランドを象徴するアイコンバッグだ。2023プレフォールコレクションでは、パズルバッグの新作が誕生した。折り紙のように、折りたためばコンパクトな平面体へ戻るマルチユースなトートバッグ「パズルトート」は、発売と同時に多くの反響を呼び、瞬く間に人気アイテムに。シム・ウンギョンさんが手にするブライトオークルのトートは、「パズルフォルド トート ミニ」。シャイニーナッパレザー製の軽く柔らかなボディには、控えめな「LOEWE」のゴールドの刻印がさりげなく光る。こちらのミニサイズにはDリングが付いているため、ストラップを追加すればショルダーやクロスボディバッグとしても楽しむことができる。
「普段、私はブラックやネイビーなどダークカラーの服を着ることが多く、久しぶりにカラーあふれる洋服を着て、気分がとても盛り上がりました。『あっ、こういうスタイリングもいいな!』と、ワクワクして。さすがLOEWEだなって」とウンギョンさん。
ファッションとはアート。
自分自身を表現するひとつの方法
「ファッションの魅力は、自分を出せること。ファッションって、私はアートだと思うんです。自分自身を表現するひとつの方法――そのことを知ってから、ファッションを楽しめるようになりました。私はロックなスタイルやスーツのスタイリングが大好き。好きなロックバンドのTシャツを着て、自分自身や自分の好みを表現したりして楽しんでいます」。
LOEWEらしい色遊びに富んだお財布や小物など、アクセサリーが陳列されたディスプレイの前で、ウンギョンさんがふと足を止めた。彼女が手に取ったのは新作の「ノット コンパクト ジップウォレット」。ブラックとブライトオレンジのコントラストが織りなす、美しいカラーパレットに思わず魅了されてしまう。「お財布の紐の色がとてもきれい。同じ形で、バーガンディ×エメラルドのウォレットも見つけて素敵だなって。子どもの頃から、緑が大好きなんです」
世界を魅了する表現者としての原動力は、
心と共鳴するカルチャーとの出逢い
子役からキャリアをスタートさせ、生国の韓国では数々の話題作に出演。国民的な女優としての確固たるキャリアを築きながら、2017年から本格的に日本でも俳優としての活動を始めたウンギョンさん。2020年には、主演映画『新聞記者』の演技が高く評価され、第43回日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞を受賞した。
「海外で認められて賞をいただいたら、どんな役者さんもすごく嬉しくなるんじゃないかなと思います。当時、私も信じられないぐらいびっくりしまして。今も賞をいただいた実感があまりないです。まだ日本でのお仕事を始めたばかりでしたので、感謝の気持ちでいっぱいでした。あらためて、有難うございますと言いたいです。表現者として頑張ろうと思える原動力はカルチャー。映画だったり、本だったり、音楽だったりを観たり聴いたりして、自分の心に響くものと出逢うと『私もこういう表現をしてみたい』、『新しいものを作ってみたい』などの気持ちが芽生えてくるんです。そういう気持ちが、表現する大きな原動力になっているのだと思います」
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シム・ウンギョン
俳優。1994年5月31日生まれ、韓国出身。大ヒット映画『サニー 永遠の仲間たち』(11年)では、主人公イム・ナミの高校生時代を演じた。2014年に主演した映画『怪しい彼女』は、観客動員数860万人を超えるヒットに。同作品で第50回百想芸術大賞最優秀主演女優賞をはじめ、数々の賞を受賞。また、2019年に公開された映画『新聞記者』にて第43回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞、第74回毎日映画コンクール女優主演賞を受賞。韓国と日本の数々の話題作に出演する。
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