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COLUMN:若い頃から「老後の楽しみ」と小西くんはよく言っていた。

小西康陽インタビュー&ディスクレビュー(3)
若い頃から「老後の楽しみ」と小西くんはよく言っていた。

文|小西康陽 編集|岡本 仁

老後の楽しみのためのディスクレビュー

この機会を借りて小西くんにお願いした老後の楽しみに聴くべきレコード選。当然ながらというか、持っているものは1枚しかなかった。これらが自分の手元に揃うまで、長生きしなくては。

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Mark Turnbull
『Portrait of The Young Artist』

ぼんやりとパリのボヘミアンたちに憧れを抱いている青年の瑞々しいデビュー・アルバム、1968年作。とくにA面が素晴らしく、毎朝これで一日を始めてもいい。老人の朝は早い。1978年にもう一枚作っているけれど、そちらはたぶんこの先も聴くことはないと思う。

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Libby Titus
『Libby Titus』

リヴォン・ヘルムのかつての妻。ドナルド・フェイゲンの現在の妻。エリック・カズと「ラヴ・ハズ・ノー・プライド」を共作した女性。でもこの1968年のデビュー作に自作曲はない。こういうレコードをあの人と作りたかった、とずっと考えながら、ただ歳をとっていく。

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Roger Miller
『A Tender Look at Love』

このレコードに収められている曲は、どれもイントロがひどく短い。そして曲の長さもまた短く、いちおうアレンジは施してあるけれど、まるでデモテープ集のように聴こえる。ボビー・ラッセルの「小さな青いリンゴ」を最初にヒットさせた、やはり1968年のアルバム。

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Bobby Russell
『Words, Music, Laughter and Tears』

とつぜん「ハニー」という曲と「小さな青いリンゴ」という曲が世界中の歌手に取り上げられて、やがて間もなく忘れられてしまったソングライターが自らの代表的なヒット曲を吹き込んだ1968年のアルバム。これはたぶん楽曲を売り込むためのデモ集だったのではないか。

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Glenn Yarbrough
『For Emily, Whenever I May Find Her』

元ライムライターズ。ちりめんヴィブラートが特徴的な歌手。ロッド・マキューンと作ったアルバムはどれも傑作。これはディランやポール・サイモンなど次世代の音楽家の作品を多く取り上げた作品。ジャケで選んだけれど、ずっと部屋の中で見つからない一枚。

小西康陽インタビュー&ディスクレビュー(1)はこちら
小西康陽インタビュー&ディスクレビュー(2)はこちら
小西康陽インタビュー&ディスクレビュー(4)はこちら

小西康陽
こにし・やすはる|1959年、北海道札幌市生まれ。1984年よりピチカート・ファイヴとしての活動を開始し、幾度かのメンバーチェンジを経て2001年に解散するまでリーダーをつとめた。2011年より、PIZZICATO ONE名義でソロプロジェクトをスタート。これまで楽曲提供、プロデュースしたアーティストは数知れず。

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