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COLUMN:若い頃から「老後の楽しみ」と小西くんはよく言っていた。

小西康陽インタビュー&ディスクレビュー(4)
若い頃から「老後の楽しみ」と小西くんはよく言っていた。

文|小西康陽 編集|岡本 仁

老後の楽しみのためのディスクレビュー

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Jake Thackray
『Jake's Progress』

イギリスの片田舎の高校教師が35歳を過ぎて自作曲を歌い出す。ジャケット写真を見ながら、英語もわからずに聴いているとそんなイメージを抱くが、じっさいのところ女性には聴かせられない歌、辛辣なジョークばかりをつよい訛りで歌う人、らしい。歳はとりたくない。

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West
『Bridges』

このバンド名、このタイトル。いちばん検索に向かない名前。ジョン・ステュワートの弟マイクとロン・コーネリアスの結成したカントリー・ロックのバンド、大名盤セカンド。バッファロー・スプリングフィールドに影響を受けた、つまりもうひとつの「はっぴいえんど」。

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Vladimir Cosma
『Alexander』

『ぐうたらバンザイ!』という映画のサウンドトラック。主演はフィリップ・ノワレ。いま検索してみたら、銀座のメゾン・エルメスで上映会をやったことがあるらしい。とにかく美しくて、ぼんやりしていて、かなしくて、ずっとターンテーブルに乗せておきたくなるレコード。

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武満徹 東京混声合唱団
『混声合唱のためのうた』

現代詩にメロディをつけて歌うという点で、高田渡や小室等のやっていたことと日本の合唱音楽とは共通している。そんなことはともかく、武満徹はこのレコードを東混と作ることができて本当に嬉しかっただろうな。裏山の名盤。「恋のかくれんぼ」「○と△の歌」全曲最高。

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『小津安二郎の世界』

いま、なぜか小津安二郎に心を寄せている。すがる、と言ってもいい。37年ぶりに観た『晩春』『麦秋』『小早川家の秋』『秋日和』。作家は完成してしまった後、どうするのか。守るのか。壊すのか。流し運転で行くのか。映画は劇場で観たいので、このレコードを聴く。

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George Hamilton IV
『Travelin' Light』

まだ持っていない一枚。だから聴いたことがない。このジャケット、レコード屋の店先で出会っていたら間違いなく買う。裏ジャケが最高。とはいえ、いつものこの人らしく、まあ悪くないけれど、という内容と推察。これぞ老後の楽しみ。老境は夜の七時。まだそのくらい。

小西康陽インタビュー&ディスクレビュー(1)はこちら
小西康陽インタビュー&ディスクレビュー(2)はこちら
小西康陽インタビュー&ディスクレビュー(3)はこちら

小西康陽
こにし・やすはる|1959年、北海道札幌市生まれ。1984年よりピチカート・ファイヴとしての活動を開始し、幾度かのメンバーチェンジを経て2001年に解散するまでリーダーをつとめた。2011年より、PIZZICATO ONE名義でソロプロジェクトをスタート。これまで楽曲提供、プロデュースしたアーティストは数知れず。

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