COLUMN:
2020あったかコラムA to Z(4)
Edit Gabin Ito、 Toshiko Nakashima text Gabin Ito(ガ), Shinya Yashiro(や)、Chika Goto(ご)、 Toshiko Nakashima(な) illustration Hagie K assit Rina Iwamoto
画像提供:ZARA
U
UNIQUE
自撮りの最高峰を見せるわ
コロナで仕事のしかたを変えざるをえなかった人が大多数なのは言うまでもないけれど、それが目に見える形でいち早く表出した例のひとつがファッションブランドの新作ルック。従来通りの撮影が叶わないなかZARAは、外出自粛中のモデルたちが自宅で撮った自然体の着用写真をルックに起用。リラックスしたモデルの表情と生活感が垣間見えるインテリア、そして見慣れたスマホカメラの画角と画質が、パンデミック下の日常着を印象づける(気づいたらZARAのロゴも字間を空けてソーシャルディスタンスしていたし)。状況を逆手に取った「そんなのアリ?」なクリエイティブに勇気づけられることは一度や二度ではなかったな。(ご)
『「ザラ」新作ルックは外出自粛中のモデルが自宅で撮影、セルフィーで商品紹介も』
V
VOICE
幸せを運んでくる赤いバス
ベルギーのブリュッセルを走る真っ赤な素敵なバスの話を覚えているでしょうか? コロナが蔓延した4月中旬、市の公共バスが夕刻、日没のちょっと前に特別なバスを走らせ始めたんですよね。どんな仕組みかというと、まず送り先の住所とともに音声メッセージを市のシステムに送ります。するとその音声を、住所近くでバスから外部スピーカーで流してくれるんです。単純な仕組みなんだけど、デジタルに弱く、コロナで孤立した老人世代にとっても喜ばれたんだとか。孫が吹き込んだ「会えなくてとても寂しいよ!」というメッセージをおじいちゃんおばあちゃんがベランダで聞いてるの。いや〜、すばらしいじゃないですか。(ガ)
「Brussels love bus gives loud shoutout during pandemic times」
W
WITH
みんなと一緒に勉強してる
「オンライン自習室」なるものがあります。受験生などがベンキョーする時に、コロナになって図書館も塾もロックダウン。ひとりでベンキョーするのは味気ないなー、張り合いないなー、モチベーションあがらんなー、という時に、そうだ! つながろう! と発明されたのがこのオンライン自習室。仕組みは単純、ベンキョーする時に、同じくベンキョーしなくちゃな人たちで一緒にオンラインに集まろうぜ、というもの。特におしゃべりするわけでも、質問するわけでもない。だいたいは自分のベンキョーする手元の映像をみんなに共有してモクモクとベンキョーするだけ。それでもつながってるって大事だよね。(ガ)
「【学生向け】オンライン自習室とは|おすすめサービスや料金も紹介」
Steve Dykes/Getty Images News/ゲッティイメージズ
X
XXX
煩悩の過去現在未来
先行きの見えない今、アメリカや日本などの先進国では出生率が急激に下がっているらしい。ただ、あらゆる「接触」が禁忌になるなか、セックス産業でも新しい動きがちらほらあった。イギリスでは官能小説の売り上げが急増。なぜテキストに回帰したんだろう。あとエッチなYouTubeこと「Pornhub」は「Stayhomehub」と名前を変えて、プレミアム機能を無料開放、ちょっと福祉な感じがした。アメリカではストリッパーの雇用を守るために、彼女たちがフードを配達するサービスも登場。もちろん「接触」は禁止だ。家から出られなくなっても、煩悩は尽きることはないし、どちらかというと膨れ上がるのだ。(や)
「米国でストリッパーがトップレス宅配サービス 新型コロナで仕事減り始める」
© ZUMA Press/amanaimages
Y
YOUNGSTER
ちびっこオシャレ心は燃えている
コロナにインスパイアされたファッションの中でも特に目を奪われたのは、ケニアのナイロビの子供たちに施されたコロナウイルス・ヘアスタイル。あたまからツンツンと編んだ髪に色とりどりの糸が巻きつけられていて、例の、私たちがよく知っているコロナウイルスの形にそっくり! かわいいだけじゃなくて、ピンクはタンパク質、えび茶色は脂肪、ジグザグしてるのはコロナ=王冠を表しているらしい。こんなに奇抜な髪型だけど、これには教育的な意味が思いっきり込められているんですね。この髪型で目立つことで、ソーシャルディスタンスやマスク着用、手洗いや除菌の習慣がもつ予防効果とその重要性をケニアの人々に伝えたい、という。奇をてらったわけじゃなく、理詰めで考えたものが大それたデザインになって耳目を集めるって最高っすねー。(ガ)
『「コロナヘア」が人気に 東アフリカ』
© PA Photos/amanaimages
Z
ZOOLOGY
地球と動物と一緒に未来へ
ベネチアの運河がめっちゃきれいになったことは覚えておきたいよね。観光客が激減したことの影響か、運河の水がどんどん澄んでいって、クラゲは泳ぐわ、白鳥はやってくるわで、ずっとこれでいいじゃん! と叫び出したい気分。人新世と呼ばれるくらい人間の営みが地球を覆い尽くした現代。コロナで人の動きがパタッと止まると、その瞬間から野生が帰ってくる。例えばウェールズ地方のランディドノーという街では、普段人で賑わう町中にカシミヤヤギがやってきた。サンフランシスコの町中にはコヨーテがやってきた。人間のいない町で大胆に行動する彼らの姿は感動的ですね。一方NYなどでは残飯目当てのネズミ通称ピザラットを見かけなくなったとか。一瞬で反応する動物たち。人間が滅んだら、その瞬間に動物たちの世界になるんでしょうね。(ガ)
「大気汚染は改善、野生動物は街中に…… 新型コロナウイルスによって世界各地の都市環境が変化している」
そして世界はひとつになった
南アフリカの人から「コロナで禁酒令がでちゃってもうたいへん、そっちはどう?」なんて聞かれたり、米国人に「誰か罹っちゃった人いる?」と聞けば「あ、おれおれ。めちゃくちゃ呼吸苦しいからほんと気をつけて」なんて言われたりする。まるで天気やスポーツのように、世界中の人と同じ話題を共有しましたねえ。
「オリンピックないけど、世界がひとつになりましたね」なんてつぶやきを見かけたけど、完全に同意。ここにあるのはニュースになったものだけだけど、もっとたくさんの「なんかよいこと」が生まれてるはず。Always look on the bright side of lifeやで〜。(ガ)
2020あったかコラムA to Z(1)はこちら
2020あったかコラムA to Z(2)はこちら
2020あったかコラムA to Z(3)はこちら