圧倒的な演技力で映画やドラマの中でも一際独特な存在感を放つ、俳優・若葉竜也さん。「表現しないことが理想」という制作現場では、自らの言葉が正しく伝わるための洋服を纏うことが多いと語る。そんな若葉さんが渋谷PARCO「THE NORTH FACE LAB」をクルーズ。“自然との共生”をテーマにした空間で、高い機能性とファッション性が融合したウェアを手に取る。
- Photo
- Sachiko Saito
- Styling
- Toshio Takeda
- Hair&Make
- Miho Araki
- Text
- Anri Murakami
- Edit
- RIDE MEDIA&DESIGN inc.
カスタマイズのパターンは数万通り
特別な体験型「141 CUSTOM」
渋谷PARCO「THE NORTH FACE LAB」は、ウェアカスタマイズサービス「141 CUSTOM」を関東で唯一体験できる特別なSHOPだ。店内奥では、3Dスキャンシステムによって得られた体型データを元に、生地やファスナー、ロゴ色などの細部まで自分好みのウェアにすることが可能。永く着たいと思える1着を職人が丁寧に作り上げてくれる。普段から、役者という枠に囚われず「脚本から深く作品に携わることが多い」という若葉竜也さん。実際の現場でも「THE NORTH FACE」をよく着ているという。「ダウンとか、ヘビロテしていますね。撥水などの機能性も素晴らしいので便利です。バッグをあまり持たないので、今日撮影で着たポケットがたくさんついた服は、ものがたくさん入っていいですよね。僕は『山は見たいけど、登りたくないタイプ』で(笑)。旅行は好きですが、自然にどっぷり浸るというより、人々の生活が根付いている地方の街で“知らない暮らし”を感じるのが好きです」。
S/S Open Collar Shirt ¥11,000、COOLMAX® H/S Pocket Tee ¥14,960、Ripstop Wide Cropped Pants ¥20,900「色」が持つ不思議な力
「感情」が生み出す物語
この日、若葉さんがカスタマイズのシミュレーションをしたのは、ロゴまでオールブラックの“ヌプシジャケット”。「黒という色を纏うと、言葉がちゃんと伝わるような気がします。自分の情報を削ぎ落として、相手に何かを伝えるのに特化した色だと思っているので、現場で着る服は黒が多いですね。でもプライベートではやわらかい青がすごく好きです。もともと80年代の古着や空気感が好きで、古着屋さんの友達がおすすめしてくれるのも青やくすんだ色味…10代の時から身の回りに自然にある、馴染み深い色なんだと思います。70~80年代は携帯電話もないし、人と会う、家族と離れることの精神的な距離が今よりもっと遠くにあったような気がして。だからこそ、そこに物語がたくさん生まれてきたりとか、人の感情が動くことが多かった気がします。そういうところにも惹かれますね」。一方で、自らを表現する色として挙げたのは「白とかかな(笑)。僕は『何色でもいいや』と思う瞬間が、普段からたくさんあるので」と、その純粋でまっさらなマインドが印象的だ。
演じることが「日常」
気持ちが動くその先へ
幼い頃から芸能界に身を置き、演じることが「日常」という特殊な環境で育った若葉さん。「大衆演劇の劇団一家だったので転校続きだったんですけど、ある時、母親がずっと同じ学校に行かせてくれるようになって。その時に出来た友達は今も仲が良くて、彼らがいなかったら、もうちょっと自分が歪んでたかもと思うし、もう少し卑屈だったとも思う。下手したら道を踏み外してたんじゃないかなって瞬間もたくさんあった。彼らがいてくれたからいろんな感情が自分の中で生まれたし、いろんなものに興味を持てるようになった。地元の友達は大きな存在ですね」。すでに芸歴30年を超える“演劇生活”の中で、日々大切にしていることは「気持ちが動く」ということ。「僕は『オアシス』という韓国映画がすごく好きで先日もなんとなく観返したんですけど、恋愛のその先にある、人が人を想うという気持ちにすごく感動しますね」。この日、若葉さんの心を捉えたのは、ユニセックスの“タグアンポンチョ”。随所に内蔵したドローコードで、雨風でもバタつかない高いフィット感を実現した1着だ。
Taguan Poncho ¥26,400現実は、泣けないから辛い
“表現しない表現”を求めて
言葉の端々から感じる「自己と他者」「主観と客観」という冷静沈着、多角的な視点は、撮られる側から撮る側へと、自ら監督・脚本を務める映画作品にも活かされている。「観客として観たいかどうかは作品と携わる上でとても大切にしています。何かを“表現する”というのもあんまり好きじゃなくて、できれば表現したくないな…って思っています。悲しいときに映画の登場人物みたいにボロボロ泣けたら、どれだけラクかなと思うし、それが出来るって逆に強い人な気がします。現実は、弱音を吐けないから辛いし、泣きたいのに泣けないから苦しい。虚構を作っていてもそういうわかりやすくて嘘っぽい表現は、極力やりたくないですね。僕は俳優として上にいく!とか、メジャーになりたい!とか、そういう事に本当に全く興味がなくて。それよりも例えば綺麗な景色を『うわぁ綺麗だな』って感動するとか、誰かの『お疲れ様』って言葉に救われたりする、そういうシンプルな感覚はずっと持っておきたいです」。
- ショップ名
- THE NORTH FACE LAB
- フロア
- 2F
- 電話番号
- 03-6455-0586
- 公式ブランドサイト
- https://www.goldwin.co.jp/tnf/lab/
- 公式SNS
- Instagram(@thenorthfacejp)
Twitter(@thenorthfacejp)
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若葉竜也
1989年6月10日生まれ。東京都出身。2016年、映画『葛城事件』(赤堀雅秋監督)で第8回 TAMA映画賞・最優秀新進男優賞を受賞。作品によって違った表情を見せる幅広い演技力で数多くの作品に出演。NHK連続テレビ小説『おちょやん』で朝ドラに初出演し注目を集める。2021年には『街の上で』(今泉力哉監督)で映画初主演、以降も『あの頃。』(21/今泉力哉監督)、『くれなずめ』(21/松居大悟監督)、『前科者』(22/岸義幸監督)など話題作への出演が続く。公開待機作に『ぜんぶ、ボクのせい』(8月11日公開/松本優作監督)。
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