『ハムレット』といえば、デンマークの王子ハムレットが、父から王権と母を奪った叔父への復讐を図るシェイクスピアの悲劇。この戯曲の大まかな設定だけ借りて、登場人物の心理をユーモアと皮肉をまぶして細やかに書いた太宰治の小説が、PARCO劇場開場50周年シリーズ『新ハムレット~太宰治、シェイクスピアを乗っとる!?~』として上演される。キャストは木村達成、島崎遥香、加藤諒、駒井健介、池田成志、松下由樹、平田満と、個性と実力溢れる面々。上演台本と演出を、昨年度の読売演劇大賞 最優秀演出家賞を受賞した五戸真理枝が手掛ける。さて、ハムレットの恋人オフヰリヤ役でPARCO劇場に初出演する“ぱるる”こと島崎遥香さんの胸中は…?
- Photo
- Sayo Nagase
- Styling
- Yui Kurose
- Hair&Make
- Hitoshi Nobusawa
- Text
- Kaori Okazaki
- Edit
- RIDE Inc.
――新国王になった叔父がやけに腰の低い人だったり、ハムレットが泣き虫だったり…。シェイクスピアの『ハムレット』とはだいぶ様子が違う本作品ですが、台本を読んで、どう思われたでしょう?
最初はまず、「この字、どうやって読むんだろう?」という感じでした。私の役も“オフヰリヤ”と書かれているし、難しい漢字が多くて。言い回しも、普段しゃべっている会話とは違うので、「これ、覚えられるかな?」って。でも、内容は面白いなと思いました。そもそも、太宰治が「決して戯曲のつもりで書いたのではない」と最初に書いているのに、それを演劇にしちゃっているところからして、面白いですよね(笑)。
――お稽古は4月に始まったと伺っています。演出家の五戸真理枝さんや稽古の印象はいかがですか?
五戸さんの印象は、優しくて、図書室の先生みたいな方。どの役についても、感情を深く深く考えていて、質問すると丁寧に答えてくれます。「ここはこういう心境なんじゃないか」「このセリフは、こういう気持ちでしゃべっていると思う」というふうに、みんなで話し合いながら稽古しているので、まさにみんなで一つの演劇を作っているんだなという感じがします。自分では思ってもいなかったことに気づかされたりして、楽しいです。
――キャストの皆さんの中で、今いちばん気になっている人は誰でしょう?
よく話すのは、今回で6回目くらいの共演になる(加藤)諒くんですけど、みんなのことが気になっています。皆さん、面白いんですよ。稽古で役を演じていても、それぞれの方の“その人らしさ”がたくさん出ていて。セリフを発してない時のそれぞれの役者さんの表情も、すごくいいんです。自分はまだ、そういう“らしさ”が全然出せていない気がするので、出せるようになりたいです。台本に書いてあるキャラクターのイメージを、そのままやったほうがきれいかもしれないですけど、私はやっぱり、自分のカラーも出してみたいんですよね。演じる人の魅力を役に付け足せたら、その人にしかできない役柄になると思うんです。
――島崎さんならではのオフヰリヤが楽しみです。ちなみに、シェイクスピアの『ハムレット』を舞台や映画でご覧になったことは?
なかったです。ただ最近、藤原竜也さんがハムレットをやっている舞台の映像をたまたま目にする機会があって。影響されるとよくないから、きっと観ない方がいいんだろうなと思いながらも、ちょっと観ちゃいました(笑)。やっぱりやめておこうと思って、すぐにやめたんですけど、(鈴木)杏さんのオフィーリアも気になって、ちょっとだけ(笑)。
――今回がPARCO劇場初出演となりますが、劇場の印象はいかがですか?
絨毯も椅子も赤で、カッコイイです。あと、ステージを見て、気持ちがラクになりました。自分より年上の、歴史ある劇場に記念の年に呼んでいただいて、「ありがたいな。でも、いいのかな。自分にできるかな」と感じていたんですけど、この空間だったら、安心してお芝居ができそうな気がします。ステージがあまりにも広いと、共演の方との距離が遠くなって、ちょっと心細いなあと思っていたんです。
――もっとずっと大きなステージで、ものすごい数のお客さんを前にされていたから、緊張することもなさそうですね。
歌のライブの時は…確かに、あまり緊張はしませんでした。何が起きるかわからないのがライブですけど、先輩方がたくさんいて、いざという時は助けてくれると思っていたから。ライブが始まる5分くらい前まで寝ていたりして、それは秋元(康)さんも驚いていましたけど(笑)。ただ、今度の舞台の本番前は、緊張する気がします。ドームだと、お客さんが米粒くらいの大きさにしか見えなかったりするんですけど、この劇場の距離感だと、お客さんの表情もちゃんと見えそうですし。
――オフヰリヤという役柄には、現段階でどういう印象をお持ちですか?
か弱い感じがあるのかなと勝手に思っていたんですけど、今は、それはなくていいなと思っています。一人で台本を読んでいた時は、暗めというか、落ち着いた感じで読んでいたんですね。でも稽古をするうちに、オフヰリヤはもともとおてんばだったということを思い出しました。まだ探り探りですけど、そこを忘れずに、暗いセリフも暗くなりすぎないようにしています。感情の揺れ動き方は、登場人物の中ではいちばん大きいかもしれないです。王妃(ハムレットの母)に、王妃のことが大好きだと言う場面なんて本当に面白くて、太宰はこの時代に、何を思って書いたんだろう?って思います。
――本作品のハムレットには、どんな印象がありますか?
そこが難しいんです。私もまだ「オフヰリヤは、ハムレットのことをどう思ってるんだろう?」と考えていて。自分としては、ハムレットみたいな性格の人とは、あんまり友達にはなりたくないかなあ。というか、現実にはあんまりいないタイプだと思います。
――この作品には悩める人が何人も出てきます。島崎さんは悩みがちなタイプですか?それとも楽天的なほう?
めちゃくちゃ悩みます。ちっちゃなことも気になって、毎日お家に帰ってから、一人で反省会みたいな感じです。「あそこで、あんなふうに言わないほうがよかったな」とか「もっと、こうしておけばよかった」とか。
――そういう状態から、どうやって脱していますか?
家にワンちゃんがいるので、だいぶ救われています。あと、日記を書いています。手書きで「三年日記」というのをつけているんです。書くと頭が整理できて、結構スッキリします。
――1ページが3分割してあって、同じ日の記録を3年分、同じページに書ける日記ですね。
はい。ちょうど今2年目で、1年前の今日、自分が何を思っていたかがわかって、面白いです。毎日絶対書いているわけじゃないから、何も書かれていないと「去年の今日は忙しかったのかな」と思ったり。「こういうところが嫌だった。くそっ!」みたいなことが書かれていることもあって、笑えますよ、1年前の自分(笑)。そういう時は、「今笑えている自分がいてよかったな」と思います。自分で書いた自分の日記なのに、「面白いな、この人」と思うこともあって、楽しいです。
――素敵ですね。そんな島崎さんが、残りの稽古と本番も含めて、今いちばん楽しみにしていることは何でしょう?
やっぱり、お客さんの反応は気になりますね。たぶん、『ハムレット』を知らない人も観にくると思うし、逆に『ハムレット』のめちゃくちゃファンだという人も来るかもしれないし…感想がそれぞれ違うんだろうなと思います。太宰ファンにハマったら嬉しいですね。
――島崎さんご自身は、何か太宰の作品を読まれたことはありますか?
『人間失格』は読んだことがあります。おじいちゃんにすすめられました。もう亡くなってしまったんですけど、おじいちゃんは本が大大大好きな人で、小さい頃からよく本をプレゼントしてくれたんです。まだ字がちゃんと読めない頃に、絵本じゃなくて、ちゃんとした本の『星の王子さま』をくれたこともよく覚えています。おじいちゃんのおかげで、小さい時は本が大好きで、本ばっかり読んでいました。
――素敵なおじいさまですね。
太宰治とか芥川龍之介とか、そういう有名な作家さんの初版本を持っているような、本オタクでした。旅人でもあって、その国について色々なことが書かれている、国ごとのすごく分厚い本が、部屋にバーっと並んでいて。美術館に連れて行ってくれたのもおじいちゃんだし、芸術的なことは、全部おじいちゃんから教わった感じです。
――ぜひ、この舞台を観ていただきたかったですね。きっと喜ばれたのでは?
そうですね。なんか急に今、やる気が出てきました。もちろん、今までやる気がなかったわけじゃないですけど(笑)、確かにそうだなと思ったら、「もう観てはもらえないけど、頑張ろう」って、嬉しくなってきちゃって。おじいちゃんが生きていたら、色々話せたのになあって、今さらながらに思いますね。
――最後に、読者の方にメッセージをお願いします。
シェイクスピアとか、『ハムレット』と聞くと、舞台を普段観ていない人は、ちょっと敷居が高いと感じると思うんですけど、『新ハムレット』は大丈夫です。言葉も面白いですし、やりとりも面白いです。衣裳も個性的だし、セットもおしゃれなんですよ。お城みたいなセットになるのかなと想像していたら、シュッとしてカッコイイ感じになっていて。『ハムレット』で笑って帰ってほしいというのも変な感じですけど、そうなったら嬉しいです。きっと、楽しんでもらえると思います。ぜひ観にいらしてください!
- 上演作品
- PARCO劇場開場50周年記念シリーズ『新ハムレット~太宰治、シェイクスピアを乗っとる!?~』
- 会場
- PARCO劇場
- 公演期間
- 2023年6月6日(火)〜 6月25日(日)
- 入場料
- ¥11,000(全席指定)
U-25チケット ¥6,000
※観劇時25歳以下対象、要身分証明書(コピー・画像不可、原本のみ有効)、当日指定席券引換/「パルステ!」、チケットぴあにて前売販売のみの取扱い、指定席との連席購入不可(連席ご希望の場合は指定席をご購入ください) - 公式サイト
- https://stage.parco.jp/program/shin-hamlet
※福岡・大阪公演有
チケット発売中
- ショップ名
- PARCO劇場
- フロア
- 8F
- 公式サイト
- https://stage.parco.jp/
- 公式SNS
- Instagram(@parco_stage)Twitter(@parcostage)
島崎遥香さん サイン入りチェキ プレゼント
2023年6月2日(金)~6月16日(金)の期間中、渋谷PARCO公式SNSにてプレゼントキャンペーンを開催いたします。 下記方法にてプレゼントへご応募ください。
下記方法にてプレゼントへご応募ください。
①Instagram(@parco_shibuya_official)・Twitter(@shibuya_parco)公式アカウントのどちらかをフォロー
②6月2日にUPされた公式Instagramの島崎遥香さん サイン入りチェキ プレゼント対象投稿に、Instagramから応募の場合「いいね!」とコメントをお願いします。Twitterから応募の場合、リツイートをお願いします。
ご参加いただいた皆さまの中から、抽選で計4名様にプレゼントいたします。
ご当選の方へDMにてご連絡致しますので、ご応募されるSNSのアカウント(渋谷PARCO 公式Instagram・公式Twitter)のフォローをお願いいたします。
※アカウントが非公開設定の方、フォローが外れている方は抽選対象外となります。
※応募はお一人様一回限りと致します。
※既にフォローいただいている方も対象の投稿にいいねで抽選参加となります。
※当選の権利はご当選者様本人のものとし、第三者への譲渡(有償・無償を問わない)・換金を禁止させていただきます。
<当選発表>
厳正なる選考の上、2023年6月下旬頃、当選者にのみInstagram・Twitterのダイレクトメッセージにてご連絡し、賞品の発送をもって当選に代えさせていただきます。また、賞品の発送は2023年7月上旬頃を予定しております。諸事情により多少前後する場合がございますので、あらかじめご了承ください。
※期日内にダイレクトメッセージへの応答のない方・当選連絡後、住所等の情報のご提供のない場合は、当選が無効となります。
※当選された方から提供いただきます個人情報は、本キャンペーンの当選のご案内・賞品発送にのみ使用いたします。
※当選理由についてのお問合せは一切受け付けておりません。
※ソーシャルメディアの運用を妨害する行為、趣旨に反する行為、弊社が不適切を判断する行為は禁止致します。
※当キャンペーンはFacebook社Instagramとは一切関係ありません。
※本キャンペーンは、予告なく変更・中止する場合がございますので予めご了承ください。
島崎遥香
1994年生まれ、埼玉県出身。2009年にAKB48 第6回研究生(9期生)オーディションに合格し、中心メンバーとして活躍。16年に卒業、以降女優として活躍している。近年の主な出演作品に【舞台】『漫画みたいにいかない。』、『政見放送』【映画】『劇場霊』、『翔んで埼玉』、『凪の島』、『さかなのこ』【ドラマ】『ゆとりですがなにか』、『スーパーサラリーマン左江内氏』(以上、NTV)、連続テレビ小説『ひよっこ』(NHK)、『ハレ婚。』(ABC)、『DCU』、『私のシてくれないフェロモン彼氏』(以上、TBS)などがある。
Instagram(@paruuuuuru)