「JIL SANDER」のクリエイティブ・ディレクター ルーシー&ルーク・メイヤーが生み出す“モダンテーラリング”。それは最高水準にまで洗練を高めて伝統を回避した、スーツに対するアイデアの拡張だ。音楽家・長岡亮介さんが、JIL SANDER 2024年 メンズリゾートコレクションを纏って渋谷でファッションシューティング。表現者として大切にする、彼のマイルールもインタビューした。
- Photo
- Sayo Nagase
- Styling
- Daisuke Iga
- Hair&Make
- Go Takakusagi
- Text
- Hisako Yamazaki
- Edit
- Mariko Araki , Nanako Ohashi(RIDE)
開放的なアティチュードとノンシャランな印象。
新しくモダンなテーラードの提案
「JIL SANDER」のクリエイティブ・ディレクター ルーシー&ルーク・メイヤーは、文化的にも形式的にも相反するものと考えられてきたエッセンスを融合させることで生まれる可能性を探求し続けている。2024年 メンズリゾートコレクションでは、伝統を回避し、スーツに対する彼らの個人的なアイデアをさらに広げることを意図して、日常に溶け込む新しいスーツスタイルを提案した。ロングパンツやショートパンツに新しいシルエットのジャケットやシャツジャケットを組み合わせ、モダンでノンシャランな開放的なアティチュードに。
袖を通すとわかる、感性を刺激する服。
“本物”である魅力
肩幅や丈が長めのオーバーサイズに仕上げたジャケットにソフトでボリュームのあるロングパンツを合わせた長岡亮介さんが着用するルックは、普段着とエレガンス、実用性と仕立ての美しさが同居する。
「JIL SANDERの服は、“素材を着る”という感覚を知ることができる。実際に袖を通してみると、もちろん上質でとても柔らかな素材ではあるのですが、パリッとした緊張感が自然と生まれる服。それはまるで、ドイツ車みたいな緊張感があるんです」。
長岡亮介がぐっとくる瞬間。
好きなものと色っぽさについて
長岡さんが好きなもの。それは、クラシックカー。
「60年代の車には、微妙な色がたくさんあって。グリーンなのか、ブルーなのか……そのメタリックだったり、淡い金色だったり。気を衒わずにとても美しい色合いをしている。僕がカッコいいなと思う人は、カッコつけていない、素直な人。自分で自分を演出しない人。同じように、色っぽさも演出しようとしているものに対しては、色気は感じないんだろうなって。隠れた色気を見つけたとき、いちばんぐっときたりしますよね」
愛車でドライブをするときが、長岡さんにとっての幸せな瞬間。そんなとき、期せずして音へのインスピレーションも湧いてくるそう。
「この間、熱を出して2、3日ぐらい寝ていたんです。気が滅入ってしまったので、元気になってすぐにドライブを。運転しながら、すごく幸せだなと感動しちゃって(笑)。自分が思ったように車が動いてくれて、景色も動いて、ちょっといい風も入ってきて。なんでもない日常のことなんですが、幸せを感じた瞬間でした。車に乗っていると、何かの音がリズムに聴こえてくることなんかもあります。自分の曲にも、こういう音を入れたらどうかなと思ったり」
数字ではない部分を大切にする。
長岡亮介のマイルール
「世の中には“数字がすべて”という考えが、どうしてもある。音楽をやるときもそうなのですが、僕は『数字ではない部分を大事にしよう』といつもどこかで想っています。人の気持ちとか気分とか……それは、ものさしで測ることができないこと。数字を気にすると、どうしても盛っていくしかなくなってしまう。でも人間って、そういうものではないから。大きな会場、派手な演出、何万人もの前でパフォーマンスをするのがすごいとなりがちですが、数人の前でもものすごいことが起こったりもする。昔、ライブ中に急に声が出なくなってしまったことがあったんです。本当に歌えなくなっちゃって。そのときに、お客さんが代わりに歌ってくれた。お客さんもまだ少ない時でしたけど、大きな会場で大合唱……というのではないというところに、またぐっときてしまって。それは、とても嬉しかったですね」
バッグ ¥203,500- ショップ名
- JIL SANDER
- フロア
- 1F
- 公式ブランドサイト
- https://www.jilsander.com/ja-jp/home
- 公式SNS
- Instagram : @jilsander
長岡亮介
1978年生まれ、千葉県出身。神出鬼没の音楽家。9歳よりピアノ、中学時代からギターを始め、高校時代には様々なバンドに参加。大学在学中にバンドのギタリストなどでキャリアをスタートする。2005年にペトロールズを結成、歌とギターを担当。ギタリストとしての活動の他に楽曲提供、プロデュースなど活動は多岐にわたる。
Instagram(@nagaokaryosuke)