「LOEWE」のクリエイティブ ディレクター ジョナサン・アンダーソンが生み出す服――その魅力はなんといっても、ファッションの既成概念を打ち破る自由な遊び心。彼にとってファッションショーは“実験の場”。モノ作りの哲学と真摯に向き合うことで、今までにない型破りな新しいスタイルや服を生み出すのだ。ジョナサンのフィロソフィーとシンクロする音楽家・長岡亮介さんが、渋谷PARCO 1FのLOEWEをショップクルーズ。“これまで以上にLOEWEらしい”SS24 メンズコレクションの魅力を紐解く。
- Photo
- Sayo Nagase
- Styling
- Daisuke Iga
- Hair&Make
- Go Takakusagi
- Text
- Hisako Yamazaki
- Edit
- Mariko Araki , Nanako Ohashi(RIDE)
認識とスケールが描き出すシルエット。
“視点”に着目したLOEWE SS24 メンズ コレクション
「LOEWE」SS24 メンズ ランウェイコレクションの会場の中央には、アーティスト リンダ・ベングリスの彫刻作品である巨大な噴水が設置され、モデルたちはその噴水の周りを歩いた。観客は広角で、また下から見上げるようにしてランウェイを眺める――モノの認識とスケールを決定する“視点”。今シーズンのテーマとして、クリエイティブ ディレクターであるジョナサン・アンダーソンが挑戦したかったことは“視点の遊び”。モノの認識とスケールが描き出すシルエットは、見ている位置や視点によって大きく変化するという壮大なパースペクティブ(遠近法)の研究だ。
長い脚、高いウエスト、コンパクトなバストからなるシルエットが伸長されたような縦長のプロポーションが特徴的。ランウェイにはシューズとパンツが一体化した、目を欺くようなユニークなルックも登場。またシルエットだけでなく、クラフツマンシップが叶える製法への探求にも着目したい。スパンコールのようにキラキラと光るシャツとハイウエストパンツは、実は職人技によって丁寧に付けられたクリスタル。遠くから見るとディスコティックな煌めきを放ちつつ、太陽の光を受けてチラチラと瞬く噴水の水しぶきを反映しているかのようにも見える――それは私たちの視点によって、さまざまな解釈があることを教えてくれる。
これまで以上にLOEWEらしい。
プロポーションに関する深い探求
LOEWEの今シーズンを象徴するルックのひとつである、ウエストインしたハイウエストのジーンズを着こなした長岡亮介さん。伸長されたような縦長のプロポーションは、長岡さんご自身が持つスタイルの良さをより魅力的に強調する。また、床と平行なシルエットを描くレザーのスリッポンは、パンツの裾が床すれすれまで落ちることで、まるで地面と脚が一体化するような錯覚を起こし、長いレッグをより際立たせる。そのプロポーションはまさしく、“視点の遊び”だ。
「LOEWE SS24は基本的にとてもシンプルな印象なのですが、ちょっと肉感的で、少し狂気が垣間見える感じがしました。コレクションを観ていたら『おや? これ、なんかおかしいな……』という印象もあって。でもそれは、ジョナサンが表現したかった、さまざまな“視点”が服に感じられたからなのかもしれませんね」と長岡さん。 ルックに合わせたバッグは、SS24の新作「ペブル バケット バッグ ミディアム(メローカーフ)」。シグネチャーのアナグラム刻印入りメタルパーツで、ストラップの長さが調節可能。装飾的でありながら機能的なペブル バケットバッグは、LOEWEのクラフツマンシップが光るピュアでミニマルなラインが魅力的だ。
ファッションの意思表示。
「やっぱり、いいモノはかっこいい」
「車や自転車など、いま僕が夢中になっているのは、モノが好きだった父の影響を大きく受けていると思います。父は服も好きだったんです。僕はファッションに関しては強いこだわりを持つほうではないけれど、今日着させていただいたスーパーハイウエストのLOEWEの服を見たとき『かっこいい!』と思った。やっぱり、いいモノはかっこいいんだなと。作り手のこだわりが感じられるもの、きちんと丁寧に作ってあるものは、やはりいいですね。そういうものを着たときに、自然に造りの良さを感じた自分にほっとしました(笑)」
建築学科を専攻した後、音楽家へ。
モノに宿る本質的な力に魅せられて
学生時代に大学では建築学科を専攻し、卒業後は音楽の道へと進んだ長岡さん。彼がたどったユニークな経歴は、特定の分野にとらわれないクリエイティブな創作活動に応用されている。
「『建築学科って、かっこいいな』と思っただけで、当時の僕は何も考えてなかったんです(笑)。もちろん建築が好きで専攻をしたのですが、学生時代のその当時、新しく建築を作り続けて、それをまた壊して……ということよりも、古いものへ惹かれる感覚もあり。それで途中から、設計ではなく日本の建築史を学ぶ学科へ。素敵だなと思える建築物や空間は、デザインや作りが素晴らしいというのもありますが、それだけではない。そこにある文化とか歴史とか……そんな物語を肌でふと感じられたとき、ゾワっとすることがあります。昔、ポーランドの名もなき教会に一歩足を踏み入れたときに、守られているような、とても慎ましやかな気持ちになった経験があります。写真を撮ろうとしていた自分自身を恥ずかしいとさえ思ってしまったほど」
- ショップ名
- LOEWE
- フロア
- 1F
- 公式ブランドサイト
- https://www.loewe.com
- 公式SNS
- Instagram : @loewe
X(Twitter) : @LoeweOfficial
Line : @LOEWE
春の新作小物が豊富に揃う
「LOEWE SS24 POP UP」を開催
2024年2月1日(木)〜2月14日(水)まで、バレンタインデーを前にウィメンズ/メンズの春の新作ウォレットを豊富に揃えた「LOEWE SS24 PRECOLLECTION POP UP」を開催。ピンクブロッサム、グリーンリーフなど日本の春に着想を得た限定色が壁面を彩り、新デザインとなる球形のペブルをプレイフルに積み重ねたフォトスポットも登場。ダイスなどのアクセサリーやバッグも展開されるほか、革小物を購入した方には、桃の花の特性チャームを全国先行してプレゼント。
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長岡亮介
1978年生まれ、千葉県出身。神出鬼没の音楽家。9歳よりピアノ、中学時代からギターを始め、高校時代には様々なバンドに参加。大学在学中にバンドのギタリストなどでキャリアをスタートする。2005年にペトロールズを結成、歌とギターを担当。ギタリストとしての活動の他に楽曲提供、プロデュースなど活動は多岐にわたる。
Instagram(@nagaokaryosuke)